こぐま座流星群の基本情報・観測条件
こぐま座座流星群について,基本情報・2024年以降のピーク時刻等観測条件を提供しています.目で見る眼視観測、天候や昼夜に左右されない電波観測それぞれの観点で記載.
こぐま座流星群とは?
こぐま座流星群とは,一年の最後を締めくくる主要流星群です.ピークの頃になっても,あまり目立った出現を見せないと思えば,突如として突発出現を見せることもあります.電波観測では,通常の活動については検出される年とされない年があります.
こぐま座流星群について
名称(和名) | こぐま座流星群 |
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学術名(コード) | Ursids (015 URS) |
出現期間 | (IMO)12月17日~12月26日 (IPRMO)12月22日~12月23日 |
ピーク太陽黄経 | (IMO)270°.7 (IPRMO)270°.6 ※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照 |
ピーク時放射点 | 赤経 217° / 赤緯 +76° |
特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):10,光度比3.0 (IPRMO)ActivityLevel=0.4,FWHM= -0°.45/+0°.35 |
母天体・対地速度 | 8P/Tuttle,V∞=33km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構のデータを優先
2024年のこぐま座流星群 観測条件
日本におけるピーク時刻等を加味した2024年こぐま座流星群の観測条件は,電波観測としては「良好」.目で見る場合も「比較的良好」です.目で見る眼視観測,電波観測それぞれの観点で紹介します.
眼視観測(目で見る場合)の観測条件
2024年のこぐま座流星群の日本における観測条件は「良い」です.
総論 |
月明りはあるものの,ピークとされる時間帯には月明りはない.研究者によって平年値より多少の増加が指摘されていますが,日本からは日中. | |
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月齢条件 |
月齢21 |
夜半に月が昇ります,月が昇ってからは,月を視界に入れないようご覧ください. |
ピーク時刻 (JST) |
12月22日 19時頃 |
この時間は月が出る前であり,薄明終了も18時頃と条件は良好.ただし,放射点は20度ほどと一番低い時間帯 |
見る方向 (方角) |
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」ですが,月が昇った後は,月がない方をみましょう | |
おすすめの 時間帯(日本時) |
12月22日日没後~23日夜明けまで |
- 12月の夜は極寒です.想像を絶する寒さです.真面目に寒い.防寒対策は厳重に.
- 火気厳禁.温かい飲み物やカイロなど火を使わないものを持参しましょう.
- 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
- 感動する気持ちはよくわかりますが,大声で騒ぎ続けることのないよう節度を持って.
- 車移動は,寝不足+暖かい車内で,居眠り運転しないよう計画的に移動しましょう.路面凍結に要注意!
- 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.
日本時間で2024年12月23日19:00(東京)の夜空.
星図:StellaNavigator/AstroArts (アストロアーツ楽天市場店)/(Amazon)
電波観測の観測条件
2024年こぐま座流星群の日本における「流星電波観測」の観測条件は「良好」です.(参考:眼視観測の場合)
総 評 |
電波観測では1日中観測できるため,特に問題はありませんが,通常ピークの22日19時頃は放射点が一番低い時間帯.電波観測ではそれよりも2時間程早くピークを迎える傾向があります. この他,P.Jenniskens⽒によって,22日9時頃(λ⊙=270°.27)に多少の増加が⾒られる可能性が示されています.ただし,確実視するものではないので,継 続した観測を⾏いましょう. |
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全世界で見た時の観測条件(海外での観測条件)
総 評 | ヨーロッパやカナダ等緯度が高い地域では放射点が高く昇ります.ピーク時刻からすると,アメリカで好条件.月明りは万国共通.ダストトレイルとの接近が予想されている時間帯については,ヨーロッパが好条件.また,こぐま座に放射点がありますので,オセアニアや南米では見られない地域もあります.海外でご覧になる際は,くれぐれも治安にはご注意ください. |
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極大夜の観測条件(2024~2030年)
12月 JST |
極大時刻 270°.7 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
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2024 | 12月23日07時 | 29 | 月明りナシ.ピークは日の出頃.22日日没~夜半は要チェック | ||
2023 | 12月23日13時 | 10 | 3時頃月が沈む.ピークは日中.電波は好条件 | ||
2024 | 12月22日19時 | 22 | 夜半前に月が昇る.ピーク付近は夜間で月明りはない | ||
2025 | 12月23日01時 | 3 | 月明りはなく,ピークに該当する時間も夜間と好条件 | ||
2026 | 12月23日07時 | 14 | 満月と日の出頃ピークと悪条件.電波では好条件 | ||
2027 | 12月23日13時 | 24 | 2時頃に月が昇る.ピークは日中.電波は好条件 | ||
2028 | 12月22日19時 | 7 | 23時前には月が沈む.この年は23時~日付が変わる頃要チェック | ||
2029 | 12月23日02時 | 17 | ピークは夜間も一晩中月明りがある.電波は好条件 | ||
2030 | 12月23日08時 | 27 | 月明りはないがピークは日中.23日夜明け前要チェックの年 |
- 月齢は12月23日0時頃です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,,,,の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
こぐま座流星群の歴史
1449年の中国に記録が存在.日本には1795年に記録があり,1799年にも記録が残っています.1945年にZHR170の突発出現,その後も1981年や1986年,1992年そして直近では2000年に突発出現が観測されています.それ以降は,2014年や2016年に活発な活動を観測しています.
こぐま座流星群の観測結果
過去の流星電波観測によるこぐま座流星群観測結果を収録しています.
こぐま座流星群の観測結果
出典
・HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
・A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
・Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
・2022 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2021)
・Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)