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ふたご座流星群の基本情報・観測条件

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12月にピークを迎える「ふたご座座流星群」について,基本情報,2024年以降のピーク時刻等観測条件,いつ・どこを見たらよいのか?という観測のポイントを提供しています。目で見る眼視観測、電波観測それぞれの観点で記載します.

ふたご座流星群とは?

ふたご座流星群とは,12月にピークを迎える年間三大流星群のひとつで,一晩に見られる流星数としては年間最大の流星群です.ピーク時刻や月齢条件が整うと一晩の流星数が500個を越える時もあります.1時間あたりの流星数も40個から60個,多いときには100個近くに達します.最近は明るい流星や流星痕の出現も観測されており,とても印象的な流星群です.
電波観測でも,年間最大の流星群で,豊富な流星エコーを観測することができます.日本では,放射点がほぼ天頂を通過することから,電波観測特性の「天頂効果」が起き,放射点が南中する1時~3時付近ではエコー数はガクッと落ち,また元の出現数に戻ります.

ふたご座流星群について

名称(和名) ふたご座流星群
学術名(コード) Geminids (004 GEM)
出現期間 (IMO)12月4日~12月17日
(IPRMO)12月9日~12月16日
ピーク太陽黄経 (IMO)262°.2
(IPRMO)262°.0
※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照
ピーク時放射点 赤経 112° / 赤緯 +33°
特徴 (IMO)極大出現数(ZHR):120,光度比2.6
(IPRMO)ActivityLevel=3.5,FWHM= -1°.3/+0°.5
母天体・対地速度 (3200)Phaethon,V=35km/s

[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構のデータを優先

2024年のふたご座流星群 観測条件

日本におけるピーク時刻等を加味した2022年ふたご座流星群の観測条件は,電波観測としては「あまりよくない」目で見る場合も「条件は悪い」です.目で見る眼視観測電波観測それぞれの観点で紹介します.

眼視観測(目で見る場合)の観測条件

2024年のふたご座流星群の日本における観測条件は「悪い」です.

総論
Bad
ピーク時刻は日中.月齢12と満月前の月明りがあります.月を視界に入れない方角を見るとよいでしょう.なお,日付をずらすならば,ピーク後ではなく,ピーク前にずらすとよいでしょう.
月齢条件
Bad
月齢12
月齢12
満月手前の月がおうし座にある.見る方向はふたご座方向である必要はないので,月を視界に入れない方角を見るとよいでしょう.
ピーク時刻
(JST)
Best
12月14日
10時頃
ピークは日中.14日未明が一番多くなるでしょう.
見る方向
(方角)
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」ですが,月明りがあるので,月を避けてご覧ください
おすすめの
時間帯(日本時)
第一候補:12月13日日没後~14日夜明けまで
第二候補:12月12日日没後~13日夜明けまで
<注意事項>
  • 12月の夜は極寒です.想像を絶する寒さです.防寒対策は厳重に.
  • 火気厳禁.温かい飲み物やカイロなど火を使わないものを持参しましょう.
  • 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
  • 感動する気持ちはよくわかりますが,大声で騒ぎ続けることのないよう節度を持って.
  • 車移動は,寝不足+暖かい車内で,居眠り運転しないよう計画的に移動しましょう.路面凍結に要注意!
  • 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.
ふたご座流星群ピークの夜空

ふたご座流星群ピークの頃の夜空
日本時間で2024年12月14日03:00(東京)の夜空.月がおうし座にある
星図:StellaNavigator/AstroArts (アストロアーツ楽天市場店)/(Amazon)

電波観測の観測条件

 2024年ふたご座流星群の日本における「流星電波観測」の観測条件は「よくない」です.(参考:眼視観測の場合

総 評
Normal
通常ピークは14日10時と日中ですが,電波観測では眼視観測と比べるとやや早めにピークを迎えます.過去平均からすると2024年は14日6時頃となり,放射点が沈む前の時間帯です.2023年には太陽黄経260°.0でサブピークが見られており,2024年はどうなるか気になるところです.
ふたご座流星群の場合,ピーク後の活動は急速に低下します.エコー数としては前日も多く捉えられるでしょう.

流星電波観測による2024年ふたご座流星群出現予想数
このグラフは,流星電波観測による過去の結果から,流星エコー数が通常よりどの程度多くなりそうかを計算したものです.ふたご座流星群は天頂効果が顕著に現れます.上グラフでは天頂効果を考慮していないので,ご留意ください.

全世界で見た時の観測条件(海外での観測条件)

総 評 ピーク時刻からすると、ヨーロッパが好条件.ただし,月明りは万国共通.なお,南半球では放射点高度が低くなり,見られる流星数は減ってしまうでしょう.海外でご覧になる際は,くれぐれも治安にご注意ください.

極大夜の観測条件(2024~2030年)

12月
JST
極大時刻
262°.2
月齢 条件
(眼視)
条件
(電波)
コメント
2024 12月14日10時 14 Bad Normal ほぼ満月と日中ピークで条件は悪い.電波は14日未明ピーク
2025 12月14日17時 25 Normal Bad 2時頃に月が昇る.13日の日没後から月が昇るまでが勝負
2026 12月14日23時 6 Best Best 月は22時には沈む.それ以降の条件は良好.電波も好条件
2027 12月15日05時 17 Normal Best 月がふたご座にあり,ピークが薄明開始頃.電波は好条件
2028 12月14日11時 29 Good Normal ピークは日中.ただし月明りはないので14日未明は好条件.電波もまずまず
2029 12月14日17時 9 Good Bad 月は1時に沈む.それ以降は好条件.ピークは夕方.電波も微妙
2030 12月15日05時 20 Normal Best かに座に下弦前の月がある.ピークは薄明開始頃.電波は好条件
  • 月齢は12月15日0時頃です.情報はこよみのページより.
  • ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
  • 時刻は日本時(JST).
  • 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,BestGoodNormalBadの順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.

ふたご座流星群の歴史

年間三大流星群のひとつとして,一晩見られる数では年間最大を誇るふたご座流星群ですが,19世紀以前の記録は皆無に等しく,1862年等の記録はあるものの出現数は少なく,ほとんどの記録は1900年代(20世紀)に入ってからです.90年代初頭もあまり流星数は多くありませんでしたが,1930年~1950年頃に徐々に流星数が増加し,1970年代からは現在の出現数まで上昇してきました.
これだけの流星数の変化は,19世紀以前にはふたご座流星群の元となる流星物質の流れが地球と接していなかったためと考えられており,以前は21世紀にはふたご座流星群が見えなくなるとまで言われていました.しかし,その後,母天体が発見され,その母天体(3200)Phaethonの軌道が2223年に再接近するという結果がわかると,当面はこのまま見え続けるのではないだろうかと言われています.現在もその活動は活発そのもので,2000年頃からは,これまでふたご座流星群ではなかなか見られなかった明るい流星(火球)も見られるようになり,活発な活動が継続しています.
また,流星電波観測においても,2000年代より2010年代の方が活動レベルは高くなっています(ご参考:過去のふたご座流星群流星電波観測結果).ロングエコーも観測されており,今後の活動に期待です.
一方で,21世紀後半には19世紀後半並みまで流星活動が衰えるという説もあり,まだまだふたご流星群の経年変化はよくわかっていません.いずれにしても,経年変化を観測することが,ふたご座流星群の将来の出現を見ていく上でとても重要といえます.

ふたご座流星群の観測結果

ふたご座流星群の流星電波観測結果を収録しています.
icon ふたご座流星群の観測結果

出典

・HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
・A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
・Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
・2020 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2019)
・Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)