2025年 流星群ガイド(眼視観測用)
2025年の流星群を見るにあたり,眼視観測(目で見る場合)によって見られる流星群について,月毎にオススメの流星群をピックアップしました.いつ見たらよいのか,どちらを見たほうがいいのか,見るうえでのポイントを紹介しています.なお,2025年において,三大流星群は全体的に観測条件はベストではないものの,悪くはありません.中でもしぶんぎ座流星群が好条件です.
[参考]
・電波観測の2025年流星群観測展望
2025年流星群活動展望(総論:全体的に当たり年.三大流星群の観測条件は惜しい)
2025年は比較的観測条件は良好.どちらかといえば当たり年.三大流星群は,いずれもベストではないという点では惜しい・・・.しぶんぎ座流星群は月明りはないものの,ピーク時刻が放射点が昇って間もないため,条件は良好だがベストではない.ペルセウス座流星群はピーク時刻が薄明開始頃とピーク時刻はまずまずの条件ですが,月明りがある.そして,ふたご座流星群は月明りを気にしなくていいが,ピーク時刻が夕方.ただし,ふたご座流星群の場合は,ピーク時刻が夕方でも14日薄明終了後からは流星が豊富に見らえるでしょう.
この他,10月りゅう座流星群,しし座流星群ではダストトレイルとの接近も予想されています.ただし,際立って数が多いという予想もないので,要チェックくらいでしょう.
2025年の三大流星群の概況
三大流星群とは,しぶんぎ座流星群,ペルセウス座流星群そしてふたご座流星群のことです.これら三大流星群の2025年観測条件をまとめました.
流星群名 | 活動期間 | ピーク時刻(日本時) | 月齢 | 総論 |
---|---|---|---|---|
しぶんぎ座流星群 | 12月28日~01月12日 | 01月04日01時頃 |
月齢4 |
月有りナシ.ピークは放射点が昇ってすぐ |
ペルセウス座流星群 | 07月17日~08月24日 | 08月13日05時頃 |
月齢19 |
月明りがあるがピーク時刻は良好 |
ふたご座流星群 | 12月04日~12月17日 | 12月14日17時頃 |
月齢24 |
月の影響は気にする必要ナシ.ピーク時刻が夕方 |
以下のページには,年間の流星群を表形式で掲載していますので,一覧でご覧になりたい場合,ご利用ください.本ページでは詳細にお知りになりたい場合に,ご活用ください.
・流星群リスト【公式版】(※国立天文台による)
・電波観測の2025年流星群観測展望
・年間主要流星群リスト【眼視観測編】
・年間主要流星群リスト【電波観測編】
1月の流星群
1月にピークを迎える「しぶんぎ座流星群」の2025年観測条件は,月齢4で月明りを気にする必要はありません.ピーク時刻は1月4日1時頃と,放射点が昇って間もない時刻です.放射点が昇る時刻は東京で22時過ぎ,福岡では23時頃,札幌では沈みません.間もないとはいえ,札幌では高度20度くらいはありますので,十分な条件です.本州では20度を切っているので,惜しいといったところですね.ただし,月明りはないので,1月4日未明に多くの流れ星が見られるでしょう.お勧めは1月4日未明です.1月3日未明も数は減るものの,通常よりは多くの流れ星が見られるでしょう.電波観測でも条件は同じ.
ご覧になる際,この頃の夜はメチャクチャ寒い(ホント真面目に寒いです)ので,防寒対策はしっかりしてから観測に臨んでください(ただし直火はやめましょう).車で移動される方は路面の凍結と,観測後,暖かな車内での眠気(居眠り運転)にはくれぐれもご注意ください.
1月の流星群として,しぶんぎ座流星群以外では,1時間当たりの出現数が1~数個レベルの小流星群の活動はありますが,1時間に10個を超えてくるような活動はないでしょう.
2月の流星群
例年,2月は目立った流星群の活動はなく,顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.
ケンタウルス座α流星群は,1974年や1980年に突発出現が観測されており,近年では2015年にも報告があります.ピークは2月8日とされています.ただし,放射点位置が赤緯-58度となるため,東京をはじめ日本のほとんどでは放射点が昇らず,小笠原や南西諸島でわずかに放射点が顔を出す程度です.
3月の流星群
2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定がメインです.
4月の流星群
4月22日夜~23日に「4月こと座流星群」が活動を見せます.2025年の観測条件としては,月齢25で2時頃昇りますが,ピーク時刻は4月22日22時頃と月明りの影響はありません.ピーク時刻付近の放射点高度も20度を越えているため,条件としては恵まれるでしょう.活動規模は年によりますが,通常は1時間に数個程度です.元々数が多い流星群でもありません.なお,こと座流星群のピークは短いので,前後の夜では見られる流星数が大幅に減るでしょう.
この他,佐藤幹哉氏によって,4月やぎ座α流星群の出現が予想されています.数まで言及されていないので規模は不明ですが,4月7日22:35頃にダストトレイルが接近するとのことです.ただし,この時間帯は放射点(赤経304°,赤緯-13°)が昇っていません.加えて月明りもあるため,日本からの観測条件はよくありません.とはいえ,何があるかわからないのが流星の出現です.数は多くないと思いますが,もし時間があったら眺めてみてください.
5月の流星群
大型連休の後半,5月6日にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2025年は月齢8で,5月6日は1:30頃に月が沈みます.ピーク時刻は5月6日12時頃のため,放射点が昇ってから夜明けが見頃でしょう.東京では1時半前に昇り,薄明開始が3時過ぎです..みずがめ座η流星群は性質上,同じ活動規模が数日続きますので,5月5日未明や5月7日未明でも見ることができます.5月大型連休とも重なりますので,比較的見やすい流星群でしょう.月巡りからすると,後ろ倒しするよりは前倒しの方がよいでしょう.なお,みずがめ座η流星群は,12年周期で活動が活発化する傾向があり,2023年~2025年にまとまった流星が見られる可能性があります.2023年・2024年はそこまで顕著な活動とはなりませんでしたが,2025年も確認してみましょう.
海外では,みずがめ座η流星群が低緯度や南半球では,みずがめ座自身が空高くに昇るので,多くの流星を見ることができるでしょう.観測適地はピーク時刻からするとヨーロッパや中央アフリカにかけてです.
この他,特記するような活動は予想されていません..電波観測では,昼間流星群が捉えられる時期です.
6月の流星群
6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.1998年と2004年に活発な活動を見せましたが,2025年は現時点で突発出現の予想は発表されていません.通常ピーク時刻は6月27日20時頃で日本ではまだ薄明中.ただし,仮に何らかの活動があったとしたら,この日時とは限りません.なお,月齢2で月明りを気にする必要はありません.
この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.電波観測では,昼間流星群が年間最大の活動を見せます.
7月の流星群
7月末,学校では夏休みに入って直後にみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じるでしょう.活動は21時前には放射点がそれぞれ昇り,その後は朝まで観測できます.この2つの流星群はほぼ同時期の活動となりますが,やぎ座流星群はみずがめ座δ流星群より速度が遅いため,やぎ座流星群の方がゆっくり流れて見えるでしょう.
2025年は7月31日が月齢7.上限の月であり,7月31日は22時頃に月が沈みます.この頃は1年の中でも夜の冷え込みが緩くなりますので,夏の夜空と流れ星を楽しんでください(ただし,結露はしやすく,夜露に体が濡れて冷えることがあるので長袖は必須です(あと虫刺されにもご注意を!).ワンポイントアドバイスとして,ご都合等でピーク前後にご覧になりたい場合は,ピークとされる7月31日を挟んで後ろに倒すよりは前に倒した方が,月明りの影響はありません.
8月の流星群
8月は,ペルセウス座流星群がピークを迎えます.2025年はピークは8月13日5時頃,月齢19です.満月を過ぎた月明りが一晩中あります.ペルセウス座流星群の放射点は一晩中沈みませんが,地平高度20度を越えるのは22時頃です.お勧めは8月12日22時過ぎから13日夜明けまで.月明りで空は明るいものの,明るい流星群が多い流星群でもあるので,月を視界に入れないようご覧ください.
なお,2021年にはピークとされる時刻の約1.5日後に,2024年は1日後に突発出現を見せています.もし,同様の頃に見られるとすると,2025年は8月14日18時頃(2021年の突発),8月13日23時頃(2024年の突発)に相当します.出現するかどうか,その規模も不明ですが,ここ最近ペルセウス座流星群の活動は面白く目が離せません.
Vaubaillon氏によると,1079年放出のダストトレイルに8月12日22時頃接近すると計算されています.また,P.Jenniskenss氏も8月12日13時あたりで多少の増加を予想しています.
このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群がピークを迎えます.2021年は比較的多くの流星が観測されたようです.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,下旬には活動が落ち着くと思われます.
この時期の夜は寒くはありませんが,夜露で体が濡れることが多く,意外と涼しく感じます.特に山でご覧になる方は,綿の服よりは,防水性のある服のほうが良いでしょう.また,野生動物との遭遇もよくある話です.イタチやタヌキ、キツネなど私も何度か”お会い”したことがあります.大型動物と出会うとたいへん危険なので,念のため自治体の注意情報や周辺施設の情報に注意しておきましょう.また,蚊に刺されやすい人は,虫よけも忘れずに.気づいたらすごく蚊に刺されていた人がいました.
9月の流星群
9月は,ちょうど夏の流星群と秋以降の流星群の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った流星群はありません.2021年には9月1日早朝に,事前に予想された突発出現が流星電波観測で観測されました(ご参考:2021年ぎょしゃ座流星群観測結果).2025年は特に出現予報はありません.
この他,9月ペルセウス座ε流星群も活動します.元々流星数が多い流星群ではありませんが,2021年は例年より気持ち多かったのか,よく話題に上がりました.電波観測でも捉えられる年もあります.Vaubaillon氏によると,9月13日6時少し手前にエリダヌス座ε流星群のダストトレイルと接近するという予想が出ています.放射点は22時頃から昇っているので問題ありませんが,月明りがあります.「weak activity」と記載されているので数は期待できないでしょう.
10月の流星群
10月は上旬に10月りゅう座流星群がピークを迎えます.国際流星機構で記載されているピーク時刻では,10月9日4時(日本時)ですが,実際,過去のピークはこの時間からズレており,あまり気にしないほうがいいかもしれません.月齢17と満月過ぎの月明りが一晩中あります.2025年は10月9日0時~1時頃に2012年放出のダストトレイルとの接近が予想されています.日本では放射点が沈まない場所が多いのですが,この頃はちょうど高度が低い時間帯であり,東京では地平高度10度程度です.また,今回接近する流星物質は小さい,つまり暗い流星が多いと予想されています.従って月明りはとても気になるところです.0時頃の月はちょうど南中頃であり,高度も70度近くとまさに地面を照らすようなイメージです.方角は南にあるので,月を視界に入れないためには北側や北西側を見るとよいでしょう.
10月22日未明には,オリオン座流星群が極大を迎えます.2025年のピーク予想時刻は10月21日21時頃(日本時)と日本で夜間.ただし,活動そのものは同じ規模の活動が数日間続くので,ピーク時刻はあまり気にせず,天気の良い日にご覧ください.月齢は新月なので,月明りナシ.今年は条件としては恵まれます.オリオン座流星群は,2006年~2009年にかけて比較的活発な活動を見せましたが,その後は低調が続いています.
なお,この頃から夜はかなり冷えるようになります.しっかりと防寒対策をしてご覧になるようにしてください.
11月の流星群
11月はしし座流星群が極大を迎えます.2025年の通常ピークは11月18日3時頃(日本時).月齢27で月明りの心配はナシ.2025年はいくつかのダストトレイルとの接近が佐藤幹哉氏・Vaubaillon氏によって予想されています.1699年放出のダストについて,11月18日4時~8時にかけて接近します.特に7:40頃の接近が期待できるようです.日本では既に夜明けのため,日本からは電波観測で観測できるでしょう.規模はわかりませんので数は少ないかもしれません.いずれにしても時間含め良くも悪くもズレる事はありますので,11月18日未明は要チェックです.この他,Vaubaillon氏は1167年ダストトレイルが11月10日7時頃,1633年放出のダストトレイルが11月15日12時頃に接近すると予想していますが,規模は全くわかっていません.なお,いずれも予想ピークが夜明け後・日中なので,電波観測でチェックすることになるでしょう.
この他,おうし座流星群の南群が11月5日頃,北群が11月12日頃にそれぞれピークを迎えます.数こそ多くはありませんが,1998年には火球が多く流れるなど,時々明るい流星が見られます.2025年も明るい流星が見られる可能性が指摘されています(木星公転周期との関係による).特に11月上旬の頃チェックしてみましょう.月齢はほぼ満月と悪条件.放射点はほぼ一晩中昇っています.
12月の流星群
12月はふたご座流星群がピークを迎えます.ピーク時刻は12月14日17時頃と夕方.月齢24と夜半以降(15日2時過ぎ)昇ってきます.ただ,半月よりも欠けている状態なので,そこまで気にする必要はないでしょう.ピーク時刻は夕方ですが,12月14日の薄明終了後から12月15日夜明けまでは豊富な流星が見られるでしょう.もしご都合等で見る日をずらす場合は,ふたご座流星群の特性上,ピーク後急激に流星数が減るので,後ろにずらすより,前にずらしてください.2023年にはピークの2日前にサブピークが検出されました.明るい流星もそれなりに見られますので,是非楽しんでください.
なお,2023年にも指摘された46P/Wirtanen彗星による流星ですが,2025年も7公転前のダストトレイルとの接近がVaubaillon氏によって予想されています.2023年の際は流星電波観測国際プロジェクトとしてこの彗星に起因する流星群は小規模だったと結論づけています(参考:2023年ふたご座流星群観測結果-サブピークが一体何なのかを参照).2025年はどうなるかわかりませんが,予想では12月12日19時~13日7時にかけて.ただし,放射点は22:30頃には沈むため,12日薄明が終了する18時~要チェックでしょう.南中時でも高度が16度程度と低いのですが,対地速度が10km/sととても遅いため,放射点が浮き上がって見える天頂引力がそれなりに効くでしょう.
年末には,12月22日~23日にかけて,こぐま座流星群がピークを迎えます.ピークは12月23日01時頃(日本時).月齢は3と気にする必要はありません.なお,2025年はP.Jenniskens氏によって12月22日15時少し手前で流星数の増加が予想されていますが,日本からは日中となってしまいます.電波観測でチェックすることになるでしょう.
この頃の観測は極寒です.真面目に寒いです.防寒対策をしっかりしないと,寒くて耐えられなくなります.また,車で移動される場合は路面凍結や観測後は車内が暖かいので,居眠り運転には十分注意してください.
流星観測をするうえでの注意・留意事項
ご覧になる際は,少なくとも次の事にはご注意・ご配慮ください.多くの方が気持ちよく流星と触れ合うためにもルールとマナーは守りましょう.
- 私有地への立ち入りや,ゴミ,大きな声で騒ぐ等は厳禁(星を見る以前の問題).周囲へご配慮ください.
- 流れ星が見えると感動する気持ちはわかりますが,大声で騒ぎ続けることだけはやめましょう.
- 車で移動した後はエンジンのかけっぱなしは控えてください.
- 治安と野生動物には注意してください.
- お子様は必ず大人の方とご覧ください.
- 特に海外では治安の悪いところもありますので,十分にご注意ください.
以下,特に夏についての留意事項です.
- 夏場でも夜は冷えます.長袖は必ず持参しましょう.
- 虫(特に蚊)に刺される人が多くいます.虫よけも持参しましょう.
以下,特に秋~春についての留意事項です.
- 特に冬は想像を絶する寒さです.スキーウェアは必須.防寒対策を厳重に.
- 暖かい飲み物やカイロもよいでしょう.ただし,直火で暖をとるのはやめてください.
- 車での移動は,路面凍結にご注意.積雪地では,一酸化炭素中毒にも注意してください.
- 観測後暖かい車内では眠くなります.居眠り運転しないよう注意してください.
出典・参考資料
- Meteor Shower Calendar 2025(英文):国際流星機構(IMO)発行
- Meteor Data Center(英文):国際天文学連合
- 流星群の和名一覧:国立天文台
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
本ページに記載の情報は,可能な限り最新としていますが,更新が間に合わない場合もあります.また,これら流星群の出現を確実にお約束するものではありません.また,見られる流星数も空の条件や周囲の条件,地理的条件によって大きく変化しますので,予めご了承ください.