しし座流星群の基本情報・観測条件
しし座流星群に関する基本情報・2024年以降のピーク時刻等観測条件を提供しています。目で見る眼視観測、電波観測それぞれの観点で記載。
しし座流星群とは?
しし座流星群とは,およそ33年周期で活発な活動を見せることで有名な流星群です.1833年や1966年にに大出現を見せ,2001年に日本を含むアジアで1時間あたり2000個の大出現を見せました.火球が多くとても見応えのある流星群です.一方で,活動期以外の時期は出現数は激減し,1時間あたり数個程度まで落ち込みます.
電波観測では,流星の対地速度が速いため,多くのロングエコーが観測され,大出現時はロングエコーで観測画面が埋め尽くされました.一方で速度が速いが故にエコー数は伸び悩み,活動期以外の時期のピーク検出はとても困難です.
しし座流星群について
名称(和名) | しし座流星群 |
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学術名(コード) | Leonids (013 LEO) |
出現期間 | (IMO)11月6日~11月30日 (IPRMO)11月15日~11月20日 |
ピーク太陽黄経 | (IMO)235°.27 (IPRMO)- ※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照 |
ピーク時放射点 | 赤経 152° / 赤緯 +22° |
特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):10-10000,光度比2.5 (IPRMO)- |
母天体・対地速度 | 55P/Tempel-Tuttle,V∞=71km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先
2024年のしし座流星群 観測条件
日本におけるピーク時刻等を加味した2024年しし座流星群の観測条件は,電波観測としては「悪い」.目で見る場合も「悪い」.
目で見る眼視観測,電波観測それぞれの観点で紹介します.
眼視観測(目で見る場合)の観測条件
2024年のしし座流星群の日本における観測条件は「悪い」です.
総論 |
ピーク時刻は放射点が昇る前の時間.そして2024年は月明りがあり条件が悪い.月を視界に入れないようにしましょう. | |
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月齢条件 |
月齢16 |
満月で一晩中月明りがあります.月を視界に入れない方角を見るとよいでしょう. |
ピーク時刻 (JST) |
11月17日 21時頃 |
通常ピークは放射点が昇る前.ダストトレイルとの接近が予想されていますが,日本からは主に日中.15日未明にかなり古いダストトレイルとの接近が予想されていますが,規模は不明. |
見る方向 (方角) |
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」ですが,月明りがあるので,月を避けてご覧ください | |
おすすめの 時間帯(日本時) |
11月18日0時頃~夜明け頃まで |
- 11月の夜は冬です.厳重な防寒対策必須.車の運転は路面凍結に注意!
- 火気厳禁.温かい飲み物やカイロなど火を使わないものを持参しましょう.
- 冬に向け大型動物の活動に注意.付近の情報はこまめにチェックしておきましょう.
- 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
- 感動する気持ちはよくわかりますが,大声で騒ぎ続けることのないよう節度を持って.
- 寝不足になりますので,居眠り運転をしないよう計画的に移動しましょう.
- 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.
日本時間で2024年11月18日03:00(東京)の夜空.月明りがある
星図:StellaNavigator/AstroArts (アストロアーツ楽天市場店)/(Amazon)
電波観測の観測条件
2024年しし座流星群の日本における「流星電波観測」の観測条件は「悪い」ものの,ダストトレイルとの接近は要チェック.(参考:眼視観測の場合)
総 評 |
通常ピークとされる17日21時頃は放射点が昇る前で条件はよくない.ただし,2024年は、J.Vaubaillon⽒によって11月15日1:37頃にとても古いダストトレイルとの接近が予想されており,さらに佐藤幹哉⽒は,1733年放出のダストトレイルと11月20日8:52頃と20日9:54頃に予想しています.J.Vaubaillon ⽒も佐藤幹哉⽒もいずれも出現数は少ないとされていますが,日本からは観測可能な時間帯ですので,過度な期待はせずチェックしましょう。 |
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全世界で見た時の観測条件(海外での観測条件)
総 評 | 通常ピーク時刻はアメリカが好条件.ただし月明りは万国共通です.1733年放出のダストトレイルとの接近時間帯は東ヨーロッパ~西アジア.なお,海外でご覧になる際は,くれぐれも治安にご注意ください. |
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極大夜の観測条件(2024~2030年)
11月 JST |
極大時刻 235°.27 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
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2024 | 11月17日20時 | 16 | 満月後の月があり観測条件は悪い.ピークも放射点が昇る前 | ||
2025 | 11月18日03時 | 27 | 18日に日付が変わった頃から,電波では昼前まで要チェック | ||
2026 | 11月18日09時 | 8 | 月の影響はないが,ピークが日中.電波は好条件 | ||
2027 | 11月18日15時 | 19 | ピークは夕方で放射点も地平線下.月明りもあり条件は悪い | ||
2028 | 11月18日21時 | 1 | 月明りはないがピーク時刻は放射点が地平線下 | ||
2029 | 11月18日03時 | 11 | 月は3:30頃沈む.電波観測では好条件 | ||
2030 | 11月18日09時 | 22 | 下弦の月がしし座付近にありピークは日中.電波は好条件 |
- 月齢は11月18日0時です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,,,,の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
将来のしし座流星群
(※出現を確約するものではありません)
2001年に日本で大出現を見せた,しし座流星群ですが,次は2034年~2037年あたりに注目です.予想数には幅があります.数百レベルという予想もあれば,2034年と2037年は研究者によってZHR1000を超えるとという予想もあります.さらに33年後は2068年,2069年あたりにも注目,そしてその先は2090年代後半でまとまった数は見られそうです.
[参考] Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
しし座流星群の歴史
しし座流星群の確実な最古の記録は西暦902年.855年にもそれらしい記録はありますが,しし座流星群ではない可能性も.その後,ほぼ33年ごとに見事に記録が残っています.そのたびに流星雨や流星嵐といった記録が残っており,日本でも967年の最古の記録にはじまり,中国や韓国の資料と世界的に見られている流星群です.この数行だけで紹介するには惜しいくらいの膨大な記録が残っています.
1799年,1833年や1966年の活動はすさまじく,1833年は推定HR50,000.1966年は瞬間的に推定HR150,000(1秒間に40個)と言われています.その後,1999年にヨーロッパで,2001年には日本でHR2500程度(1分あたり約40個)の活動が観測されました.2001年当時の日本は,天候に恵まれたところも多く,多くの人が流星雨を目撃し,当時間帯のラジオでも放送されるなど,全国的に注目を浴びました.
しし座流星群は,この大出現のたびに流星天文学が進化するきっかけにもなっており,1833年には輻射点(放射点)の存在が,1866年には流星と彗星との関係がそれぞれ研究され,1966年には写真として記録が残り,1999年~2001年は流星群出現予測の計算精度が向上,さらに1999年には映像として記録が残りました.特に1999年に発表されたしし座流星群の出現予報は,「ダストトレイルモデル」とも呼ばれ,従前の予測方法とは桁違いの精度で流星群の出現予測が可能になってきました.
しし座流星群の観測結果
過去の流星電波観測によるしし座流星群の観測結果を収録しています.
しし座流星群の流星電波観測結果
出典
・HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
・A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
・Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
・2022 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2021)
・Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)