観測データの集計と報告
流星電波観測画像のカウントは,継続することで,実際にどのくらい流星数が見られたのかを捉えることができます.なお,この作業をため込むとと,データは自動観測のため,たまる一方です.計画的に実施されることをお勧めします.
観測データの集計方法
データ集計は,大川氏によって開発されたHROFFTでも,山本道成氏が開発したMROFFTでも同じです.基本的には10分1画像を取得します.
これが,観測で得られる観測データです.これでファイル容量は31KBあります.
(注意:上の画面は容量削減のため16色表示で容量を押さえています.)
画像の見方
画面のそれぞれの意味は以下のようになります.
流星はどれか
流星エコーがどれかというと,縦にはいっているいくつか線です.これが流星出現によって反射された電波(エコー)です.左側の右下がりの線は,飛行機です.ドップラー効果(救急車が近づいてきて遠ざかっていくときに音が変わる現象)によって周波数(音の高さ)が変化します.飛行機は遠くから近づいてきて遠ざかっていくので横に線がはいります.整理すると以下のようになります.
このようにして,1時間ごとに数を集計し,記録していきます.すると,毎月の流星電波観測結果のようになります.また,時にはたいへん大きなエコーが受信されるときがあります.以下の図はしし座流星群の時の画像です.
1ドットが1秒ですので,継続時間を計ると,たいへん長い時間,散乱し続けられていることがわかります.大きな流星が流れると見られます.これらをロングエコーと呼んでいます.ロングエコーの明確な定義はありませんが,現在国内のほとんどのサイトでは20秒で定義されています.周波数が高くなるとエコーの継続時間は短くなります.50MHzよりも100MHzの方が短くなります.従って,もしこのロングエコーの定義を20秒以外に設定している場合は,報告の際に明記してください.
ノイズ
ノイズは観測していると時々現れます.例えば,太陽面活動が活発なときに起こるスポラディックE層があり,長期的には太陽活動に左右されますが,夏に強くなる傾向があります.また海外からの混信があったり,自分の家のノイズだったり,様々な原因で観測されてしまいます.正直,自分の家以外はどうしようもありませんし,実はノイズ源を探すことはとても難しいです.アンテナの向きを変えるだけでも変わるときもあります.
これらを考慮して集計すれば,HROFFTによる流星の電波観測カウントはうまくいくと思います.
集計の際のポイント
集計の際のポイントは,大きく2つあります.慣れていくとコツもわかってきますので,徐々に早くカウントすることができるでしょう.
ポイント1-ご自身の中でのカウント基準を持つ
大切なことは,HROFFTが表示している「meteor」の値を過信するのではなく,自分の中で流星エコーかどうかの判断基準をしっかりともっていることです.これこそが,データに信頼性を持たせることです.流星エコー数の1個や2個の数え間違えはそこまで大した問題ではありません (誤差範囲がカウントした流星の平方根で効くので).自分の中で流星エコーかどうかの判断基準をきめ,自信を持ってカウントして下さい.
本プロジェクトでも集計時は相対値で評価していますので,ご自身の判断基準がぶれないことの方が大事です.
ポイント2-解析支援ソフトを有効に使う
解析支援ソフトが,山本道成氏よりフリーソフトとして配布されています.このソフトは,「HROview」というソフトです.カウントは自分で行わなければなりませんがファイル生成は自動的にされ,カンマ区切りのcsv形式で出力されます.
さらに,このHRoviewをHROreportという別の集計ソフトで読み込み処理すると,このwebでも報告されているようなテキストファイルを出力し,そのデータを即報告することができます.このような便利なソフトを有効に活用するのも,解析を能率良く勧める手段のひとつでしょう.
山本道成氏のWebより:HROView
山本道成氏のWebより:HROReport
集計が終わったら,そのデータを報告しよう!
カウントが終わったデータは是非報告をしましょう.報告をしなければ「宝の持ち腐れ」です.本プロジェクトでは毎月データを集めていますので,観測をしてカウントされた場合はご報告いただきますようお願いいたします.
「報告しよう!」へExcelで簡単にグラフ化してしまう
カウントした数字だけ眺めていても,全体傾向を感覚的につかえないこともあります.MicrosoftのExcelで簡単にグラフにすることもできますので,ぜひグラフ化してみてください.
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