しぶんぎ座流星群の基本情報・観測条件
しぶんぎ座座流星群とは,毎年1月のお正月にピークを迎える三大流星群のひとつです.本ページでは,しぶんぎ座流星群の基本情報,2026年以降のピーク時刻,見頃やポイントについて,目で見る眼視観測および電波観測それぞれの観点で紹介します.
しぶんぎ座流星群の概要
しぶんぎ座流星群は,1月にピークを迎える年間の三大流星群のひとつであり,お正月に多くの流星を見せてくれます.流星電波観測でも毎年多くのエコーが観測され,毎年3日頃から活動が顕著になります.最盛期の期間は数時間程度と,その時刻が昼間になるか夜になるか,年によって当たり外れがある流星群です.日本では,22時過ぎに昇り,夜明けまで一晩中見ることができます.電波観測では,南中する8時頃を挟んで前後2,3時間は天頂効果が見られます.その後,昼過ぎにかけて継続して観測できるでしょう.
南半球では放射点の高さが低くなる事に加え,この時期は夏なので,見られる時間も限られるでしょう.北半球で観測条件が良い流星群です.なお,現在の88星座の中に「しぶんぎ座」という星座はありませんが,88に整理される前に「壁面四分儀座」が現在の放射点位置にあったことに由来します.
しぶんぎ座流星群基本情報
しぶんぎ座流星群の基本情報について,光学系観測を中心とした情報(国際流星機構:IMO)と本プロジェクト(IPRMO)による情報を紹介します.
| 名称(和名) | しぶんぎ座流星群 |
|---|---|
| 学術名(コード) | Quadrantids(010 QUA) |
| 出現期間 | (IMO)12月28日~1月12日 (IPRMO)1月2日~1月5日 |
| ピーク太陽黄経 | (IMO)283°.15 (IPRMO)283°.15 ※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照 |
| ピーク時放射点 | 赤経 230°.1度 / 赤緯 +48°.5度 |
| 特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):120,光度比2.1 (IPRMO)ActivityLevel=4.0,FWHM= -0°.35/+0°.30 |
| 母天体・対地速度 | 96P/Machholz 1,V∞=41km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先
2026年しぶんぎ座流星群 日本での観測条件
日本におけるピーク時刻等を加味した2026年しぶんぎ座流星群の観測条件は,電波観測としては「良好」.また,目で見る場合としては「条件悪い」です.
2026年電波観測の観測条件
| 総 評 |
電波観測では薄明や日の出自体は関係ありません.2026年のピークは4日6時JST頃のため,日本からはしぶんぎ座流星群の放射点高度も十分な時間帯で好条件.エコー数及びロングエコー数それぞれどの程度になるか注目です. |
|---|
2026年眼視観測(目で見る場合)の観測条件
| 総論 |
4日夜明けにかけて流星数が増えるでしょう.満月のため月を視界に入れないよう反対側を見てみよう! | |
|---|---|---|
| 月齢条件 |
月齢15![]() |
満月と月巡りが悪い年.一晩中月があります. |
| ピーク時刻 (JST) |
1月4日 06時頃 |
ピーク時刻は薄明開始後.4日夜明けに向けて見られる流星数が増えるでしょう |
| 見る方向 (方角) |
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」ですが,満月があるので,月を視界に入れないように工夫しましょう. | |
| おすすめの 時間帯(日本時) |
1月3日23:00~4日夜明け | |
- 夜は想像以上に寒いです(真面目に寒い).厳重な防寒具を身につけて観測してください.
- 寒いからと直火はNGです.温かい飲み物を用意するといいでしょう.
- 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
- 感動する気持ちはよくわかりますが,頑張って大声は抑えてください.
- 車は暖かく,寝不足になりますので,居眠り運転をしないよう計画的に移動しましょう.
- 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.

日本時間で2026年1月4日05:00(東京)の夜空.
星図:StellaNavigator/AstroArts(アストロアーツ楽天市場店/Amazon)
全世界で見た時の2026年観測条件(海外での観測条件)
| 総 評 | ピーク時刻からすると東アジアが好条件.満月下であるのは世界どこでも同じ.なお,北緯が約42度より高い地域では,放射点が沈みません.また,南半球では放射点高度が低く,多くの流星を見ることはできないでしょう. 海外でご覧になる場合は,くれぐれも治安にはご注意ください. |
|---|
日本国内における今後の観測条件(2026~2035年)
| 1月 JST |
ピーク時刻 283°.15 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 4日06時 | 15 | 眼視観測では満月で悪条件.電波観測では最高条件 | ||
| 2027年 | 4日12時 | 26 | 月明りと日中ピークで眼視観測では悪条件.電波では好条件 | ||
| 2028年 | 4日18時 | 7 | 月明りはないが,ピーク時間が夕刻と眼視・電波ともに悪条件 | ||
| 2029年 | 4日01時 | 19 | ピークは夜間も月が明るい.電波観測では好条件 | ||
| 2030年 | 4日07時 | 0 | 月明りがなく好条件.眼視ではピーク時刻は薄明時間帯 | ||
| 2031年 | 4日13時 | 10 | 月は3時頃沈む.ピークは日中.電波は好条件 | ||
| 2032年 | 4日19時 | 20 | 下弦よりも近くほぼ一晩中月明り.ピークは夕方 | ||
| 2033年 | 4日01時 | 2 | 月明りがなく,ピークも夜間と久々の好条件 | ||
| 2034年 | 4日07時 | 13 | ほぼ満月.ピークは日の出の頃.電波は好条件 | ||
| 2035年 | 4日14時 | 24 | 2時頃月が昇る.ピークは日中 |
- 月齢は1月4日です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,
,
,
,
の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
しぶんぎ座流星群の歴史
意外と昔の記録はなく,1835年,1836年頃に比較的まとまった活動が見られたようです.イタリアには1825年の記録がありますが,この近辺の記録が最古であり,記録の中心は1900年に入ってからです.1864年,1909年,1922年,1965年,1970年,1987年,1992年は,平均的な活動よりも活発な活動が観測されており,1987年や1992年はZHR140付近まで活発化しています.ここ数年はZHR100付近の活動が継続しています.
電波観測では2002年や2014年,2016年,2019年,2021年,2024年に比較的活発な活動が観測されています.
過去のしぶんぎ座流星群観測結果
過去の流星電波観測による観測結果を収録しています.
過去のしぶんぎ座流星群電波観測結果
出典
- HandBook for Visual Observation - The International Meteor Organization (1995)
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
- 2026 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2025)
- IAU Meteor Data Center
- Major and Daytime Meteor Showers using Radio Meteor Observation in the World covering the period 2001-2016(H.Ogawa and C.Steyaert), WGN 45:4(2017)
- Report of Meteor Showers using worldwide Radio Meteor Observations (H.Ogawa), Proceeding of IMC 2022 (2023)

