しぶんぎ座流星群の基本情報・観測条件
しぶんぎ座座流星群とは,毎年1月のお正月にピークを迎える三大流星群のひとつです.本ページでは,しぶんぎ座流星群の基本情報,2025年以降のピーク時刻,見頃やポイントについて,目で見る眼視観測および電波観測それぞれの観点で紹介します.
しぶんぎ座流星群の概要
しぶんぎ座流星群は,1月にピークを迎える年間の三大流星群のひとつであり,お正月に多くの流星を見せてくれます.流星電波観測でも毎年多くのエコーが観測され,毎年3日頃から活動が顕著になります.最盛期の期間は数時間程度と,その時刻が昼間になるか夜になるか,年によって当たり外れがある流星群です.日本では,22時過ぎに昇り,夜明けまで一晩中見ることができます.電波観測では,南中する8時頃を挟んで前後2,3時間は天頂効果が見られます.その後,昼過ぎにかけて継続して観測できるでしょう.
南半球では放射点の高さが低くなる事に加え,この時期は夏なので,見られる時間も限られるでしょう.北半球で観測条件が良い流星群です.なお,現在の88星座の中に「しぶんぎ座」という星座はありませんが,88に整理される前に「壁面四分儀座」が現在の放射点位置にあったことに由来します.
しぶんぎ座流星群基本情報
しぶんぎ座流星群の基本情報について,光学系観測を中心とした情報(国際流星機構:IMO)と本プロジェクト(IPRMO)による情報を紹介します.
名称(和名) | しぶんぎ座流星群 |
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学術名(コード) | Quadrantids(010 QUA) |
出現期間 | (IMO)12月28日~1月12日 (IPRMO)1月2日~1月5日 |
ピーク太陽黄経 | (IMO)283°.15 (IPRMO)283°.15 ※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照 |
ピーク時放射点 | 赤経 230°.1度 / 赤緯 +48°.5度 |
特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):120,光度比2.1 (IPRMO)ActivityLevel=4.0,FWHM= -0°.35/+0°.30 |
母天体・対地速度 | 96P/Machholz 1,V∞=41km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先
2025年しぶんぎ座流星群 日本での観測条件
日本におけるピーク時刻等を加味した2025年しぶんぎ座流星群の観測条件は,電波観測としては「まずまず」.また,目で見る場合としても「比較的好条件」です.
2025年電波観測の観測条件
総 評![]() |
電波観測では薄明や日の出自体は関係ありません.日本において,2025年はしぶんぎ座流星群の放射点が昇っている時間帯ですが,放射点高度が10度程度と低い時間帯にピークを迎えます.ただ,4日未明の数時間であればそれなりの出現数となるでしょう. |
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このグラフは,流星電波観測による過去の結果から,流星エコー数が通常よりどの程度多くなりそうかを計算したものです.ピークの4日のみならず,3日でもエコー数の増加は見られるでしょう.なお,天頂効果は考慮していませんのでご注意ください.しぶんぎ座流星群は天頂効果が見られます.
2025年眼視観測(目で見る場合)の観測条件
総論![]() |
放射点高度が10度程度と低いものの月明りの影響がなく好条件で観測できます.4日未明がお勧めです | |
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月齢条件![]() |
月齢4![]() |
月は21時過ぎには沈むので,まったく問題ありません. |
ピーク時刻 (JST) ![]() |
1月4日 01時頃 |
ピーク時刻の頃は放射点がまだ15度程度と低いものの,明け方に向けて昇るため,4日未明がお勧め |
見る方向 (方角) |
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」です.しいて言えば,できる限り街明かりが少ない方向を見るとよいでしょう. | |
おすすめの 時間帯(日本時) |
1)1月3日23:00~4日夜明け 2)1月2日23:00~3日夜明け |
- 夜は想像以上に寒いです(真面目に寒い).厳重な防寒具を身につけて観測してください.
- 寒いからと直火はNGです.温かい飲み物を用意するといいでしょう.
- 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
- 感動する気持ちはよくわかりますが,頑張って大声は抑えてください.
- 車は暖かく,寝不足になりますので,居眠り運転をしないよう計画的に移動しましょう.
- 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.

日本時間で2025年1月4日03:30(東京)の夜空.
星図:StellaNavigator/AstroArts(アストロアーツ楽天市場店/Amazon)
全世界で見た時の2025年観測条件(海外での観測条件)
総 評 | ピーク時刻からすると北太平洋上が好条件.ハワイやアラスカなどは好条件.なお,北緯が約42度より高い地域では,放射点が沈みません.また,南半球では放射点高度が低く,多くの流星を見ることはできないでしょう. 海外でご覧になる場合は,くれぐれも治安にはご注意ください. |
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日本国内における今後の観測条件(2025~2030年)
1月 JST |
ピーク時刻 283°.15 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
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2025年 | 4日01時 | 4 | ![]() |
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月明り問題なし.ピーク時刻が若干早いが,好条件に恵まれる |
2026年 | 4日06時 | 15 | ![]() |
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眼視観測では満月で悪条件.電波観測では最高条件 |
2027年 | 4日12時 | 26 | ![]() |
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月明りと日中ピークで眼視観測では悪条件.電波では好条件 |
2028年 | 4日18時 | 7 | ![]() |
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月明りはないが,ピーク時間が夕刻と眼視・電波ともに悪条件 |
2029年 | 4日01時 | 19 | ![]() |
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ピークは夜間も月が明るい.電波観測では好条件 |
2030年 | 4日07時 | 0 | ![]() |
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月明りがなく好条件.眼視ではピーク時刻は薄明時間帯 |
- 月齢は1月4日です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,
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,
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の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
しぶんぎ座流星群の歴史
意外と昔の記録はなく,1835年,1836年頃に比較的まとまった活動が見られたようです.イタリアには1825年の記録がありますが,この近辺の記録が最古であり,記録の中心は1900年に入ってからです.1864年,1909年,1922年,1965年,1970年,1987年,1992年は,平均的な活動よりも活発な活動が観測されており,1987年や1992年はZHR140付近まで活発化しています.ここ数年はZHR100付近の活動が継続しています.
電波観測では2002年や2014年,2016年,2019年,2021年,2024年に比較的活発な活動が観測されています.
過去のしぶんぎ座流星群観測結果
過去の流星電波観測による観測結果を収録しています.
過去のしぶんぎ座流星群電波観測結果
出典
- HandBook for Visual Observation - The International Meteor Organization (1995)
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
- 2025 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2024)
- IAU Meteor Data Center
- Major and Daytime Meteor Showers using Radio Meteor Observation in the World covering the period 2001-2016(H.Ogawa and C.Steyaert), WGN 45:4(2017)
- Report of Meteor Showers using worldwide Radio Meteor Observations (H.Ogawa), Proceeding of IMC 2022 (2023)