10月りゅう座流星群の基本情報・観測条件
10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)について,基本情報や2026年以降のピーク時刻等観測条件を提供しています。目で見る眼視観測、電波観測それぞれの観点で記載。
10月りゅう座流星群とは?
10月りゅう座流星群とは,1998年日本で,2011年ヨーロッパで多くの流星を見せた流星群です.対地速度が遅くフワッとした流星の印象を受けます.一度見ると忘れられないほど印象的です.国内では,北緯35度より北の地域では放射点が沈みません.この流星群の歴史は浅く,初期出現は1920年.母彗星が21P/Giacobini-Zinner(周期は6.6年)で,軌道の関係上,13年ごとに好条件となります.2062年頃や2098年頃の活動はかなり活発になるかも!?.
この流星群は,以前は,母天体の名前をとって「ジャコビニ流星群(Giacobinids)」とも呼ばれていましたが,現在は「10月りゅう座流星群」が正式名称です.
10月りゅう座流星群について
| 名称(和名) | 10月りゅう座流星群 |
|---|---|
| 学術名(コード) | October Draconids (009 DRA) |
| 出現期間 | (IMO)10月6日~10月10日 (IPRMO)10月8日~10月9日 |
| ピーク太陽黄経 | (IMO)195°.4 (IPRMO)- ※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照 |
| ピーク時放射点 | 赤経 262°.1 / 赤緯 +54°.1 |
| 特徴 | (IMO)極大出現数(ZHR):不定,光度比2.6 (IPRMO)- |
| 母天体・対地速度 | 21P/Giacobini-Zinner,V∞=20km/s |
[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先
2026年の10月りゅう座流星群 観測条件
日本におけるピーク時刻等を加味した2026年10月りゅう座流星群の観測条件は,電波観測としては「良好」.目で見る場合は「よくはない」でしょう.目で見る眼視観測,電波観測それぞれの観点で紹介します.
眼視観測(目で見る場合)の観測条件
2026年の10月りゅう座流星群の日本における観測条件は「よくはない」です.
| 総論 |
月明りの影響はないが,通常ピークは日中.ダストトレイルとの接近予測もないため,明瞭な活動を捉えることは厳しいでしょう. | |
|---|---|---|
| 月齢条件 |
月齢28![]() |
新月手前の月なので,月明りを心配する必要は全くありません. |
| ピーク時刻 (JST) |
10月9日10時頃 | ピーク時刻は日中.ダストトレイルとの接近予想もナシ. |
| 見る方向 (方角) |
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」です.街明かりが少ない方をご覧ください. | |
| おすすめの 時間帯(日本時) |
10月8日日没後~9日に日付が変わる頃まで又は10月9日日没後~10日に日付が変わる頃 | |
- 10月上旬は既に夜は冷えます.しっかりとした防寒対策をしましょう.
- 火気厳禁.温かい飲み物やカイロなど火を使わないものを持参しましょう.
- 冬に向け大型動物の活動に注意.付近の情報はこまめにチェックしておきましょう.
- 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
- 感動する気持ちはよくわかりますが,大声で騒ぎ続けることのないよう節度を持って.
- 寝不足になりますので,居眠り運転をしないよう計画的に移動しましょう.
- 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.

日本時間で2026年10月9日00:00(東京)の夜空
星図:StellaNavigator/AstroArts (アストロアーツ楽天市場店)/(Amazon)
電波観測の観測条件
2026年10月りゅう座流星群の日本における「流星電波観測」の観測条件は「良好」です.(参考:眼視観測の場合)
| 総 評 |
通常ピークとされる9日10時頃は放射点が昇った後で高度も十分.何らかの活動があれば捉えられることが多いです.ただし,特にダストトレイルとの接近も予想されていないので,流星数や明瞭な活動は期待できないでしょう. |
|---|
全世界で見た時観測条件(海外での観測条件)
| 総 評 | 通常ピーク時刻からすると西ヨーロッパ~北米東部が好条件.月明りの影響がないのは万国共通.海外でご覧になる場合は,治安に十分ご注意ください. |
|---|
極大夜の観測条件(2026~2030年)
| 10月 JST |
極大時刻 195°.4 |
月齢 | 条件 (眼視) |
条件 (電波) |
コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026 | 10月9日10時 | 28 | 月明りは問題ないが,ピークは日中. | ||
| 2027 | 10月9日16時 | 9 | ピークは夕方.上弦の月明かりがある.電波は好条件 | ||
| 2028 | 10月8日23時 | 20 | ピーク頃は放射点が低い.月明りもあり条件は良くない | ||
| 2029 | 10月9日05時 | 1 | 月明りはないがピーク頃は放射点が地平線付近. | ||
| 2030 | 10月9日11時 | 12 | 満月近い月明り.電波はまずまず.9日夜半まで要チェック |
- 月齢は10月9日です.情報はこよみのページより.
- ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
- 時刻は日本時(JST).
- 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,
,
,
,
の順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.
10月りゅう座流星群の歴史
1885年にそれらしい記録はありますが,実質的な出現の記録は1926年が一番古い記録です(観測した記録は1913年にもあるようです).この年はHR5程度でしたが,その7年後の1933年の活動は凄まじく,1分あたり78個(HR=5,000程度)といった活動を捉えています.さらに13年後の1946年にはZHR=6,800の活動が捉えられています.1952年にはレーダーで小規模ながらも突発出現を観測しています.1946年の13年後,1959年の活動はほとんどなく,世間の期待は1972年に.1972年は従前の予想モデルからして,かなりの期待がかかりました.しかし,結果的にはHR23(ZHR40)前後の活動にとどまりました.その13年後,1985年は日本でZHR200~300規模の活動が捉えられ,久々の出現となりました.さらに13年後の1998年には日本で平均HR96,最大ZHR800程の大出現が観測されました.
直近では1998年から13年後の2011年にヨーロッパを中心にZHR300前後の活動が捉えられました.
10月りゅう座流星群の観測結果
過去の流星電波観測による10月りゅう座流星群の観測結果を収録しています.
10月りゅう座流星群の観測結果
出典
- HandBook for Visual Observation - The International Meteor Organization (1995)
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
- 2026 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2025)
- IAU Meteor Data Center
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
- Major and Daytime Meteor Showers using Radio Meteor Observation in the World covering the period 2001-2016(H.Ogawa and C.Steyaert), WGN 45:4(2017)
- Report of Meteor Showers using worldwide Radio Meteor Observations (H.Ogawa), Proceeding of IMC 2022 (2023)

