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10月りゅう座流星群の基本情報・観測条件

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10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)について,基本情報や2024年以降のピーク時刻等観測条件を提供しています。目で見る眼視観測、電波観測それぞれの観点で記載。

10月りゅう座流星群とは?

10月りゅう座流星群とは,1998年日本で,2011年ヨーロッパで多くの流星を見せた流星群です.対地速度が遅くフワッとした流星の印象を受けます.一度見ると忘れられないほど印象的です.国内では,北緯35度より北の地域では放射点が沈みません.この流星群の歴史は浅く,初期出現は1920年.母彗星が21P/Giacobini-Zinner(周期は6.6年)で,軌道の関係上,13年ごとに好条件となります.2025年付近もある程度の活動が期待されていますが,2062年頃や2098年頃の活動はかなり活発になるかも!?.
この流星群は,以前は,母天体の名前をとって「ジャコビニ流星群(Giacobinids)」とも呼ばれていましたが,現在は「10月りゅう座流星群」が正式名称です.

10月りゅう座流星群について

名称(和名) 10月りゅう座流星群
学術名(コード) October Draconids (009 DRA)
出現期間 (IMO)10月6日~10月10日
(IPRMO)10月8日~10月9日
ピーク太陽黄経 (IMO)195°.4
(IPRMO)-
※ピーク日時は年によって違う.「今後の観測条件」参照
ピーク時放射点 赤経 262°.1 / 赤緯 +54°.1
特徴 (IMO)極大出現数(ZHR):不定,光度比2.6
(IPRMO)-
母天体・対地速度 21P/Giacobini-Zinner,V=20km/s

[上表について]
※和名は国立天文台に準拠
※学術名及びコードは国際天文学連合(IAU)に準拠
※それら以外は注釈がない限り国際流星機構(IMO)のデータを優先

2024年の10月りゅう座流星群 観測条件

日本におけるピーク時刻等を加味した2024年10月りゅう座流星群の観測条件は,電波観測としては「良好」目で見る場合は「まずまず」でしょう.目で見る眼視観測電波観測それぞれの観点で紹介します.

眼視観測(目で見る場合)の観測条件

2024年の10月りゅう座流星群の日本における観測条件は「まずまず」です.

総論
Normal
通常ピークは夜間だが西に傾いている時間.月は20時頃に沈む.
ダストトレイルとの接近は日中で条件が悪い.
月齢条件
Normal
月齢6
月齢6
月齢6.上弦前の月.20日頃には月が沈む.夜になった時点で西に傾いている状態.
ピーク時刻
(JST)
Good
10月8日22時頃 ピーク時刻は夜間.ダストトレイルとの接近は日本からは日中(8日15:30頃).
見る方向
(方角)
流星の出現位置という意味では「どこでも構わない」です.街明かりが少ない方をご覧ください.
おすすめの
時間帯(日本時)
10月8日日没後~9日に日付が変わる頃まで
<注意事項>
  • 10月上旬は既に夜は冷えます.しっかりとした防寒対策をしましょう.
  • 火気厳禁.温かい飲み物やカイロなど火を使わないものを持参しましょう.
  • 冬に向け大型動物の活動に注意.付近の情報はこまめにチェックしておきましょう.
  • 私有地への無断立ち入りはダメ.ゴミは持ち帰りましょう.当たり前を当たり前に.
  • 感動する気持ちはよくわかりますが,大声で騒ぎ続けることのないよう節度を持って.
  • 寝不足になりますので,居眠り運転をしないよう計画的に移動しましょう.
  • 治安には十分ご留意頂き,お子様には必ず大人の方が付き添ってください.
10月りゅう座流星群ピークの夜空

10月りゅう座流星群ピークの頃の夜空
日本時間で2024年10月8日21:00(東京)の夜空.月は20時頃(8日の場合)沈む
星図:StellaNavigator/AstroArts (アストロアーツ楽天市場店)/(Amazon)

電波観測の観測条件

 2024年10月りゅう座流星群の日本における「流星電波観測」の観測条件は「良好」です.(参考:眼視観測の場合

総 評
Good
通常ピークとされる8日22時頃は放射点が西に傾いている時間帯.流星電波観測の場合は,何らかの活動があれば捉えられることが多いです.
2024年は,P.Jenniskens氏によると,10月8日15:36と15:53にそれぞれ1852年,1859年放出のダストトレイルとの接近が予想されています.J.Vaubaillon氏は15:23頃と15:31頃としています.いずれにしても15時台が要チェック.この時間帯は国内では放射点高度も高く好条件.ただし規模の言及はないため,あまり過度な期待はせず,電波観測ではしっかり追いかけましょう.

全世界で見た時観測条件(海外での観測条件)

総 評 通常ピーク時刻からするとアジアが好条件.ダストトレイルとの接近はアメリカが好条件.放射点位置からして南半球では見づらい流星群です.
海外でご覧になる場合は,治安に十分ご注意ください.

極大夜の観測条件(2024~2030年)

10月
JST
極大時刻
195°.4
月齢 条件
(眼視)
条件
(電波)
コメント
2024 10月8日22時 6 Normal Good ピーク頃は月が西に傾いている.電波では8日夕方要チェック.
2025 10月9日04時 17 Bad Bad 14年ぶりに活発な活動か.8日日没後から夜半まで要注意.月明りが残念
2026 10月9日10時 28 Normal Normal 月明りは問題ないが,ピークは日中.
2027 10月9日16時 9 Bad Best ピークは夕方.上弦の月明かりがある.電波は好条件
2028 10月8日23時 20 Bad Normal ピーク頃は放射点が低い.月明りもあり条件は良くない
2029 10月9日05時 1 Normal Bad 月明りはないがピーク頃は放射点が地平線付近.
2030 10月9日11時 12 Bad Good 満月近い月明り.電波はまずまず.9日夜半まで要チェック
  • 月齢は10月9日です.情報はこよみのページより.
  • ピーク時刻はFAS府中天文同好会のページより太陽黄経から換算(10分ほどの誤差があるとのこと).なお,ピーク時刻が00分~30分までは前の時刻で表示しています(例:06:28の場合は06時と表記).
  • 時刻は日本時(JST).
  • 観測条件は,眼視の場合,ピーク時刻における月齢・薄明・放射点高度から判断.電波観測条件は,ピーク時刻における放射点高度より,BestGoodNormalBadの順で表記.基本的に本プロジェクトの独断なので,他サイトとは違う表記の場合があります.

将来の10月りゅう座流星群

(※出現を確約するものではありません)

おおよそ13年周期で活動が活発化する傾向にあります.2024年や2025年の次は2037年にダストトレイルと地球は接近しそう(出現数は未公表).その後2044年にも近くに接近します.その13年後2050年付近は特に接近するダストトレイルは指摘されていないようです.さらにその先は2062年~64年,そして2098年あたりに多くの流星が見られそうです.
[参考] Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)

10月りゅう座流星群の歴史

1885年にそれらしい記録はありますが,実質的な出現の記録は1926年が一番古い記録です(観測した記録は1913年にもあるようです).この年はHR5程度でしたが,その7年後の1933年の活動は凄まじく,1分あたり78個(HR=5,000程度)といった活動を捉えています.さらに13年後の1946年にはZHR=6,800の活動が捉えられています.1952年にはレーダーで小規模ながらも突発出現を観測しています.1946年の13年後,1959年の活動はほとんどなく,世間の期待は1972年に.1972年は従前の予想モデルからして,かなりの期待がかかりました.しかし,結果的にはHR23(ZHR40)前後の活動にとどまりました.その13年後,1985年は日本でZHR200~300規模の活動が捉えられ,久々の出現となりました.さらに13年後の1998年には日本で平均HR96,最大ZHR800程の大出現が観測されました.
直近では1998年から13年後の2011年にヨーロッパを中心にZHR300前後の活動が捉えられました.

10月りゅう座流星群の観測結果

過去の流星電波観測による10月りゅう座流星群の観測結果を収録しています.
icon 10月りゅう座流星群の観測結果

出典

・HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
・A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
・Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
・2023 Meteor Shower Calendar (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2022)
・Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)