2026年 流星群ガイド(眼視観測用)
2026年の流星群を見るにあたり,眼視観測(目で見る場合)によって見られる流星群について,月毎にオススメの流星群をピックアップしました.いつ見たらよいのか,どちらを見たほうがいいのか,見るうえでのポイントを紹介しています.
[参考]
・電波観測の2026年流星群観測展望
2026年流星群活動展望(総論:ふたご座流星群が久々の好条件!)
2026年はふたご座流星群が久々の好条件.12月14日夜半前~15日未明にかけて見頃となるでしょう.しぶんぎ座流星群は月明りとピークが薄明開始後で条件は悪いが,1月4日未明がピーク.ペルセウス座流星群は月巡りは良いが通常ピークの予想時刻は日中.なお,近年の動向から特にピーク後要チェック.
この他,しし座流星群ではダストトレイルとの接近も予想されています.ただし,際立って数が多いという予想もないので,要チェックくらいでしょう.
2026年の三大流星群の概況
三大流星群とは,しぶんぎ座流星群,ペルセウス座流星群そしてふたご座流星群のことです.これら三大流星群の2026年観測条件をまとめました.
| 流星群名 | 活動期間 | ピーク時刻(日本時) | 月齢 | 総論 |
|---|---|---|---|---|
| しぶんぎ座流星群 | 12月28日~01月12日 | 01月04日06時頃 |
月齢15 |
満月と悪条件.ピーク時刻も薄明中 |
| ペルセウス座流星群 | 07月17日~08月24日 | 08月13日11時頃 |
月齢0 |
月明りナシだがピークは日中 |
| ふたご座流星群 | 12月04日~12月17日 | 12月14日23時頃 |
月齢6 |
久々の好条件! |
以下のページには,年間の流星群を表形式で掲載していますので,一覧でご覧になりたい場合,ご利用ください.本ページでは詳細にお知りになりたい場合に,ご活用ください.
・流星群リスト【公式版】(※国立天文台による)
・電波観測の2026年流星群観測展望
・年間主要流星群リスト【眼視観測編】
・年間主要流星群リスト【電波観測編】
1月の流星群
1月にピークを迎える「しぶんぎ座流星群」の2026年観測条件は,月齢15で一晩中月明りがあります.視野の中に月を入れないよう,月とは反対側を見るとよいでしょう.ピーク時刻は1月4日6時(JST)頃と薄明開始後(東京では5:20薄明開始).お勧めは1月4日未明です.1月3日未明も数は減るものの,通常よりは多くの流れ星が見られるでしょう.電波観測は月明りの影響を受けないため好条件で観測できます.
ご覧になる際,この頃の夜はメチャクチャ寒い(ホント真面目に寒いです)ので,防寒対策はしっかりしてから観測に臨んでください(ただし直火はやめましょう).車で移動される方は路面の凍結と,観測後,暖かな車内での眠気(居眠り運転)にはくれぐれもご注意ください.
1月の流星群として,しぶんぎ座流星群以外では,1時間当たりの出現数が1~数個レベルの小流星群の活動はありますが,1時間に10個を超えてくるような活動はないでしょう.Malsov氏によると1月1日22時(JST)少し手前に255P/Levy彗星が放出した1897年トレイルに接近する予想がありますが,放出速度が速く,トレイルも薄いため出現数は期待できないでしょう.月明りもあり条件は悪い.放射点はケフェウス座(α=330°, δ=+60°, Vg=18km/s)にあり,その時間帯も放射点高度は十分あります.
2月の流星群
例年,2月は目立った流星群の活動はなく,顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.
ケンタウルス座α流星群は,1974年や1980年に突発出現が観測されており,近年では2015年にも報告があります.ピークは2月8日とされています.ただし,放射点位置が赤緯-58度となるため,東京をはじめ日本のほとんどでは放射点が昇らず,小笠原や南西諸島でわずかに放射点が顔を出す程度です.
3月の流星群
2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定がメインです.
4月の流星群
4月22日夜~23日に「4月こと座流星群」が活動を見せます.2026年の観測条件としては,月齢5で夜半には沈みます.ピーク時刻は4月23日4時半(JST)頃と月明りの影響はありませんが,東京では既に薄明が始まった時間帯です.ただし,こと座流星群の活動にあまりこの時刻を重視する必要はないと思いますので,23日未明にご覧になるのがよいでしょう.活動規模は年によりますが,通常は1時間に数個程度です.元々数が多い流星群でもありません.なお,こと座流星群のピークは短いので,前後の夜では見られる流星数が大幅に減るでしょう.
この他,Malsov氏によって249P/LINEAR彗星から1969年回帰時に放出されたダストトレイルとの接近が4月18日23:42(JST)頃と予想されています.月齢1なので観測にはまったく問題ありません.放射点はおとめ座スピカの南(α=206°, δ=-20°, Vg=28km/s)で,接近時刻頃の高度は30度程ありますので,日本からの観測条件としては良好です.
電波観測では,4月うお座昼間流星群が4月こと座流星群と同時期に観測されます.
5月の流星群
大型連休の後半,5月6日にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2026年はピーク時刻が5月6日18時(JST)頃,月齢18と観測条件は決してよくはありません.みずがめ座η流星群は性質上,同じ活動規模が数日続きますので,5月5日未明や5月7日未明でも見ることができす.2026年は夕方がピークのため,6日未明と7日未明が見頃となるでしょう.なお,みずがめ座η流星群は,12年周期で活動が活発化する傾向があり,2023年~2026年にまとまった流星が見られる可能性があります.2023年~2025年はそこまで顕著な活動とはなりませんでしたが,2026年も確認してみましょう.
海外では,みずがめ座η流星群が低緯度や南半球では,みずがめ座自身が空高くに昇るので,多くの流星を見ることができるでしょう.観測適地はピーク時刻からするとオーストラリアやニュージーランド,東南アジアです.
この他,特記するような活動は予想されていません..電波観測では,昼間流星群が捉えられる時期です.
6月の流星群
6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.1998年と2004年に活発な活動を見せましたが,2026年は現時点で突発出現の予想は発表されていません.通常ピーク時刻は6月22日10時(JST)頃と日本では日中.ただし,仮に何らかの活動があったとしたら,この日時とは限りません.なお,従前6月うしかい座流星群のピークは太陽黄経95°.7となっていましたが,2026年版のIMO Meteor Shower Calendarでは,90°.3となっていて,近年のビデオ観測結果を踏まえているようです.
この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.電波観測では,昼間流星群が年間最大の活動を見せます.
7月の流星群
7月末,学校では夏休みに入って直後にみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群がピークを迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じるでしょう.活動は21時前には放射点がそれぞれ昇り,その後は朝まで観測できます.この2つの流星群はほぼ同時期の活動となりますが,やぎ座流星群はみずがめ座δ流星群より速度が遅いため,やぎ座流星群の方がゆっくり流れて見えるでしょう.
2026年は7月31日が月齢16とほぼ満月.月本体を視界に入れないよう,月とは反対側を向くとよいでしょう.この頃は1年の中でも夜の冷え込みが緩くなりますので,夏の夜空と流れ星を楽しんでください(ただし,結露はしやすく,夜露に体が濡れて冷えることがあるので長袖は必須です(あと虫刺されにもご注意を!).
8月の流星群
8月は,ペルセウス座流星群がピークを迎えます.2026年はピークは8月13日11時(JST)頃で日中.ちょうど新月で月巡りは好条件.ペルセウス座流星群の放射点は一晩中沈みませんが,地平高度20度を越えるのは22時頃です.お勧めは8月12日22時過ぎから13日夜明けまで.
なお,2021年にはピークとされる時刻の約1.5日後に,2024年は1日後に突発出現を見せています.もし,同様の頃に見られるとすると,2026年は8月15日0時半(JST)頃(2021年の突発),8月14日6時(JST)頃(2024年の突発)に相当します.出現するかどうか,その規模も不明ですが,ここ最近ペルセウス座流星群の活動は面白く目が離せません.
この他,1079年ダストトレイルとの接近がVaubaillon氏によって8月13日7時半(JST)頃(太陽黄経139°.859)に予想されています.古いダストトレイルのため規模は不明.また,Jenniskens氏によると弱い”フィラメント”との接近が予想されており,こちらは13日10時JST頃±5時間(太陽黄経139°.97±0°.2)がピーク.メインピークの太陽黄経140°.0に近いものの,規模がある程度あればこのダストトレイルの影響有無は判断できるでしょう.
他の流星群としては,8月上旬に7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群がピークを迎えます.2021年は比較的多くの流星が観測されたようです.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,下旬には活動が落ち着くと思われます.
この時期の夜は寒くはありませんが,夜露で体が濡れることが多く,意外と涼しく感じます.特に山でご覧になる方は,綿の服よりは,防水性のある服のほうが良いでしょう.また,野生動物との遭遇もよくある話です.イタチやタヌキ、キツネなど私も何度か”お会い”したことがあります.大型動物と出会うとたいへん危険なので,念のため自治体の注意情報や周辺施設の情報に注意しておきましょう.また,蚊に刺されやすい人は,虫よけも忘れずに.気づいたらすごく蚊に刺されていた人がいました.
9月の流星群
9月は,ちょうど夏の流星群と秋以降の流星群の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った流星群はありません.2021年には9月1日早朝に,事前に予想された突発出現が流星電波観測で観測されました(ご参考:2021年ぎょしゃ座流星群観測結果).2026年は特に出現予報はありません.
やぎ座χ流星群の弱い活動(ほぼないかも?)がMalsovによって9月10日7:17(JST)に予想されています.日本では日中となりますが,10日未明などはチェックしてみるとよいでしょう.高速流星(Vg=65km/s)で,放射点はやぎ座ではなく、みずがめ座とうお座の境界あたりです(α=344°, δ=-3°).エリダヌス座ε流星群は9月12日に1216年ダストトレイルとの接近が予想されていますが,活動予想は弱め.また,9月ペルセウス座ε流星群は9月10日15:10(JST)付近で,1085年/1583年/1848年放出のダストトレイルと接近する可能性があります(佐藤氏,Vaubaillon氏).活動規模は「弱い可能性」と記載されています.日本ではあいにく日中で眼視観測で追うことはできません.また,ちょうど地平線に沈んでいる時間帯でもあるので,残念ながら日本からは電波観測でもその活動を追うのは難しいでしょう.ただし,前後で何が起きるかはわかりませんので,是非ウォッチしておきましょう.
10月の流星群
10月は上旬に10月りゅう座流星群がピークを迎えます.国際流星機構で記載されているピーク時刻では,10月9日10時(JST)と日中ですが,実際,過去のピークはこの時間からズレており,あまり気にしないほうがいいかもしれません.月齢27と月明りは問題なし.2026年は特にダストトレイルなどとの接近は予想されていません.特に何もなければ活動すら捉えることは難しいでしょう.対地速度が遅いのが特徴(Vg=20km/s).
10月22日未明には,オリオン座流星群がピークを迎えます.2026年のピーク予想時刻は10月22日3時頃(JST)と日本で夜間.ただし,活動そのものは同じ規模の活動が数日間続くので,ピーク時刻はあまり気にせず,天気の良い日にご覧ください.月齢は11で,22日未明は1時半頃に沈みます.そこから明け方までは条件よく観測できます.オリオン座流星群は,2006年~2009年にかけて比較的活発な活動を見せましたが,その後は低調が続いています.ただし,電波観測では2020年代に入って少し活動レベルが上がったようにも見えていますので要チェック.
なお,この頃から夜はかなり冷えるようになります.しっかりと防寒対策をしてご覧になるようにしてください.
11月の流星群
11月はしし座流星群がピークを迎えます.2026年の通常ピークは11月18日9時頃(JST).月齢8で上弦の月のため,月明りの心配はナシ.2026年はいくつかのダストトレイルとの接近が佐藤幹哉氏・Vaubaillon氏によって予想されています.1533年のダストトレイルの接近が11月17日19:33(JST),1800年ダストトレイルが19日06:55(JST),1699年ダストトレイルが19日12:31~12:52(JST),1600年ダストトレイルが20日1:26~1:42(JST).東京の場合は23時頃に放射点が昇り,13時頃沈みます.よって,電波観測であれば,日本でも1800年/1699年/1600年と捉えられる可能性はありますが,眼視観測の場合は1600年ダストトレイルのみです.1800年ダストトレイルも既に日が昇ってしまっています.一方で,いずれのダストトレイルも,出現数としてはあまり期待はできないようです.
この他,おうし座流星群の南群が11月5日頃,北群が11月12日頃にそれぞれピークを迎えます.数こそ多くはありませんが,1998年には火球が多く流れるなど,時々明るい流星が見られます.
12月の流星群
12月はふたご座流星群がピークを迎えます.ピーク時刻は12月14日23時(JST)頃と日本からは夜間.月齢6と半月の頃.21時頃に沈みます.久々にピーク/月巡り共に条件よく観測できます.もしご都合等で見る日をずらす場合は,ふたご座流星群の特性上,ピーク後急激に流星数が減るので,後ろにずらすより,前にずらしてください.2023年にはピークの2日前にサブピークが検出され,2024年も1日前にサブピークが検出されています.2024年と同じ頃であれば,2026年は13日14時(JST)頃です.1時間あたりそして一晩あたりに見られる流星数が多いのはもちろんですが,明るい流星もそれなりに見られますので,是非楽しんでください.
年末には,12月22日~23日にかけて,こぐま座流星群がピークを迎えます.ピークは12月23日7時頃(日本時)と夜明け後.月齢14で満月近い月明りと観測条件は悪い.なお,2026年はP.Jenniskens氏によって12月22日23時頃に流星数の増加が予想されています.
この頃の観測は極寒です.真面目に寒いです.防寒対策をしっかりしないと,寒くて耐えられなくなります.また,車で移動される場合は路面凍結や観測後は車内が暖かいので,居眠り運転には十分注意してください.
流星観測をするうえでの注意・留意事項
ご覧になる際は,少なくとも次の事にはご注意・ご配慮ください.多くの方が気持ちよく流星と触れ合うためにもルールとマナーは守りましょう.
- 私有地への立ち入りや,ゴミ,大きな声で騒ぐ等は厳禁(星を見る以前の問題).周囲へご配慮ください.
- 流れ星が見えると感動する気持ちはわかりますが,大声で騒ぎ続けることだけはやめましょう.
- 車で移動した後はエンジンのかけっぱなしは控えてください.
- 治安と野生動物(特に熊やイノシシなどの大型動物)には注意してください.
- お子様は必ず大人の方とご覧ください.
- 特に海外では治安の悪いところもありますので,十分にご注意ください.
以下,特に夏についての留意事項です.
- 夏場でも夜は冷えます.長袖は必ず持参しましょう.
- 虫(特に蚊)に刺される人が多くいます.虫よけも持参しましょう.
以下,特に秋~春についての留意事項です.
- 特に冬は想像を絶する寒さです.スキーウェアは必須.防寒対策を厳重に.
- 暖かい飲み物やカイロもよいでしょう.ただし,直火で暖をとるのはやめてください.
- 車での移動は,路面凍結にご注意.積雪地では,一酸化炭素中毒にも注意してください.
- 観測後暖かい車内では眠くなります.居眠り運転しないよう注意してください.
出典・参考資料
- Meteor Shower Calendar 2026(英文):国際流星機構(IMO)発行
- Meteor Data Center(英文):国際天文学連合
- 流星群の和名一覧:国立天文台
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
本ページに記載の情報は,可能な限り最新としていますが,更新が間に合わない場合もあります.また,これら流星群の出現を確実にお約束するものではありません.また,見られる流星数も空の条件や周囲の条件,地理的条件によって大きく変化しますので,予めご了承ください.
