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2017年流星群観測展望

2017年 流星群観測展望 =しぶんぎ座流星群が好条件=

 2017年の流星群観測展望です.2017年は,しぶんぎ座流星群が好条件.


1月の観測展望2月の観測展望3月の観測展望4月の観測展望5月の観測展望6月の観測展望
7月の観測展望8月の観測展望9月の観測展望10月の観測展望11月の観測展望12月の観測展望

2017年流星群活動展望(総論)

 2017年は,年間三大流星群のひとつ,しぶんぎ座流星群が好条件で見ることができます.8月にピークを迎えるペルセウス座流星群は,下弦の月があるため,観測条件は微妙ですが,ピーク時間は日本を含めたアジアで条件が良くなります.明るい流星も多いので,期待しましょう.12月にピークを迎えるふたご座流星群は,下弦過ぎの月はありますが,まずまずの条件で見ることができるでしょう.総じて2017年の三大流星群は,下弦の月はありますが,まずまずの条件で見られる年になりそうです.
この他,いくつか突発出現の可能性が指摘されている流星群もありますが,近くなったら個別にご案内致します.

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1月の観測展望

 1月の主要流星群「しぶんぎ座流星群」の2017年は,月明りも上弦の月で夜半前には沈み,ピークも3日23時と日本では夜間となることから,3日23時頃から4日明け方までが一番見頃と言えそうです.空が暗ければ1時間あたり30~40個は見られるでしょう.「しぶんぎ座」という星座は現在存在しませんが,放射点はうしかい座にあります.なお,この頃の夜はメチャクチャ寒いので,防寒対策はしっかりしてから観測に臨んでください.車で移動される方は路面の凍結と,観測後暖かな車内での居眠り運転にはくれぐれもご注意ください.
 その他,1時間当たりの出現数が1~数個レベルの小流星群の活動はありますが,1時間に10個を超えてくるような活動はないでしょう.
 国内の電波観測ではしぶんぎ座流星群の活動が捉えられますが,23時だと若干ピーク時刻が早いので,もしかしたら,メインピークは顕著に捉えにくいかもしれません.ただし,観測はしやすい流星群で,ロングエコーも見られますから,十分楽しめるでしょう.電波観測でもしぶんぎ座流星群が終わった後は,特に顕著な活動は見られないでしょう.

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2月の観測展望

 例年,2月は目立った流星群の活動はなく,眼視観測においても,電波観測においても顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.群判定には少々慣れが必要ですが,流星の出現経路を記載し,流星群特定をしてみてはいかがでしょうか.
 流星電波観測では,ほとんど活動らしい活動を捉えることはないでしょう.しかし,何がいつ起こるかは誰にもわかりません.流星群活動の監視は継続して実施してください.また,この頃のデータは各観測地点の観測状況を計る上でとても重要な期間となります.Activity Levelにおいても,通常レベルの定義は2月・3月・9月のデータを使用することが多いので,継続した観測をお願いします.

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3月の観測展望

 2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定,電波観測では流星群活動の監視と,通常レベルの測定となりそうです.

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4月の観測展望

 4月22日夜中に,「こと座流星群」が活動を見せます.2017年の観測条件としては,月明りは気にならない程度,ピーク時刻はベストとは言えませんが,悪くはありません.総じて観測条件としては良い方でしょう(2018年のほうがもっと条件はよいのですが…).見頃となるのは,22日23時頃から23日夜明けまでです.この流星群は,突発癖があります.ここ数年は目立った活動はありませんが,いつどのような活動が見られるかわかりません.  電波観測でもこと座流星群の活動は出現すれば観測はできますが,明瞭な活動がない限り,大きな活動とはなりません.ただし,私の経験上,それなりにこと座流星群らしき活動の傾向は見える年もあります.また,4月末になると,5月にピークを迎えるみずがめ座η流星群の活動が見え始めます.

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5月の観測展望

 5月は,6日未明にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2017年の予想ピークは国内では6日11時頃とピーク時刻は日中となってしまいます.月明りも満月手前であり,夜明け前数時間だけが観測条件としては整いそうです.1月のしぶんぎ座流星群とは異なり,極大は高原上のピークを迎えるので,多少前後しても大丈夫です.一番の見頃は6日の明け方でしょう.6日に日付が変わってから月とは反対方向を眺めながら,夜明けまでご覧になってみてください.5月大型連休とも重なります.ぜひご覧になってみてください.
 なお,みずがめ座η流星群は,日本からは放射点高度があまり高くなりませんが,オーストラリアやニュージーランドなど南半球では,みずがめ座自身が空高くに昇るので,多くの流星を見ることができるでしょう.大型連休等で南半球へ出かけられる方は治安等に気をつけながら是非ご覧になってみてください.観測適地は日本と同じ経度であればアジアからオセアニア北部にかけて好条件です.
 電波観測では日中でも観測できるので,日本でもピークを捉えることができるでしょう.,エコー総数とロングエコー数がどこまで伸びるか注目です.また,みずがめ座η流星群は高原状の活動ですので,前後数日間は活発な活動を捉えることができるでしょう.活動自体は4月末から5月10日頃までは捉えられます.
 このほか,眼視観測では特にありませんが,電波観測では6月の昼間流星群最盛期に向けて,昼間の流星数があがってくる時期です.年によっては,5月20日前後でエコー数が一度上昇することもあります.昼間群の活動形態は例年異なってくるので,2017年の活動がどのように見られるのか注目です.

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6月の観測展望

 6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.2016年には活発な出現が予想されましたが,現時点で突発出現は予想されていません.この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.
 一方,電波観測では6月上旬に昼間流星群が極大を迎えます.8日頃に一回目,その数日後にもう一度極大を見せることが多いです.それぞれ,おひつじ群,ペルセウスζ群に起因すると考えられます.年によって活動状況が異なります.6月うしかい座流星群は出現すれば,電波観測でも捉えることはできるでしょう.

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7月の観測展望

 7月になるといよいよ流星群観測シーズンの到来といった様相となります.7月下旬には,みずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じると思います.活動は21時前後には輻射点がそれぞれ昇ってきていますので,その後は朝まで観測できます.2017年は上弦の月ですから,夜半以降が見頃となるでしょう.
 電波観測では,みずがめ座δ流星群の性質が良いためか,豊富な流星エコーが観測されます.おそらく,8月のペルセウス座流星群をしのいでいると思います.活動は20日頃から観測地点によっては見えてきます.例年7月23日から25日付近に一度ピークを捉え,その後高原上の活動が続いた後に30日の主極大を迎えます.30日は明らかにみずがめ座δ流星群ですが,23日付近の活動はよくわかっていません.2017年も同様の傾向となるのか注目です.

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8月の観測展望

 8月は,ペルセウス座流星群が極大を迎えます.2017年は月齢20と,下弦の月で観測条件はあまりよくありません.月を視界に入れないよう,月とは逆の方向を見るとよいでしょう.ペルセウス座流星群は明るい流星も多くみられるので,月明りにめげずにぜひご覧になってみてください.なお,ピーク時刻は日本を含めた東アジアとなるので,全体的に見ればまずまずの条件でしょう.見頃となるのは,12日22時頃から13日夜明けまでです.1日程度は前後しても構いませんので,天気を見ながらご覧になってみてください.
 この時期の夜は寒くはありませんが,夜露で体が濡れることが多く,意外と涼しく感じます.特に山でご覧になる方は,綿の服よりは,防水性のある服のほうが良いでしょう.また,野生動物との遭遇もよくある話です.イタチやタヌキ、キツネなど私も何度か”お会い”したことがあります.小動物は刺激しなければまず大丈夫ですが,大型動物と出会うと危険なので,念のため自治体の注意情報や周辺施設の情報に注意しておきましょう.
 電波観測によるペルセウス座流星群は,ロングエコーが多く観測され,とても見ごたえがあります.ただし,対地速度が速いため,エコー数そのものは伸び悩むでしょう.例年,眼視観測ほどの顕著な活動グラフにはならないことが多く,眼視観測での活動規模指標となるZHRに換算して初めて全体像が見えてくると思います.また,電波観測は眼視観測よりも若干早めにピークを迎えるよ傾向にあります.月明りは関係ありませんから,電波観測にとっては2017年のペルセウス座流星群は好条件で観測できます.
 このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群の極大がありますが,その活動を顕著に捉えることはほとんどないでしょう.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,月末頃には活動が落ち着くと思われます.

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9月の観測展望

 9月は,ちょうど流星群活動の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った活動が見られないことが多いです.ただし,2016年には,電波観測者の杉本弘文氏は,9月ペルセウス座ε流星群やエリダヌス座ε流星群と思われる活動が見られています.何かと話題が毎年ある9月です.

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10月の観測展望

 10月りゅう座流星群が極大を見せます.2011年や2012年は比較的活発な活動が見られましたが,その後は明確な活動は観測されていません.2017年も特に突発出現の予報はされていません.ただし,正直何が起こるかは見てみないことにはわかりません.国際流星機構による極大とされている時刻は,日本時間で9日3時頃と時刻条件は良いのですが,満月過ぎの月があるため,月明りの中で観測することになります.
 また,10月21日には,オリオン座流星群が極大を迎えます.2017年のピーク予想時刻は21日20時頃と特に問題のない時間帯で、かつ、月齢が1と月明りのない中での観測となるため,2017年は観測条件としては好条件が整います.活動そのものは高原上の活動となるので,前後数日間は同規模の活動が見られるでしょう.明るめの流星群が多いですので,是非ご覧になってみてください.なお,2006年~2009年にかけて比較的活発な活動を見せましたが,その後は低調が続いています.ただし,2017年あたりには少しずつまた流星数が増えるのでは?という話もあります.さて,どうなるでしょうか.
 電波観測では,オリオン座流星群の対地速度が速い関係から,エコー数は伸び悩むと思いますが,ロングエコー数は増えるでしょう.ただし,例年,エコー数の極大とロングエコー数の極大が異なっているケースが多く,特にロングエコー数の極大が遅れる傾向があります.これが何を意味するのかとても興味深いところです.2017年もどうなるか注目です.10月りゅう座流星群も,突発的な出現が明確な時は捉えることができています.

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11月の観測展望

 11月はしし座流星群が極大を迎えます.2002年の素晴らしい活動を最後に,希に活動レベルが上がるものの,当時のような華やかな活動はここ数年全く見られていません.基本的にはこの傾向がしばらくは続くと思われます.2017年のピークは18日1時頃、月齢29と観測条件は良好です.
 電波観測では,しし座流星群の活動は,突発出現がない限り,活動はほとんど捉えられないでしょう.対地速度が速いためロングエコーは散発すると思いますが,派手な活動とまではいかないと思います.
 このほか,5日頃を中心として,高原上の活動が見られることがあります.これは,おうし座流星群によるものと思われます.ロングエコー数も同様にあがることがあります.

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12月の観測展望

 12月はふたご座流星群が極大を迎えます.2017年のふたご座流星群は,月齢25と,下弦を過ぎた月があり,夜明け前には月があります.半月を割ってはいるので,月を直接見ないように眺めてみてください.ピーク時刻は14日15時頃がピークのため,おすすめの時間帯としては,13日の夜から14日明け方まで,14日の夜から15日明け方までのどちらかが良いでしょう.
 電波観測でも多くのエコーがふたご座流星群では観測されます.国内では1時から2時頃に輻射点高度が天頂付近を通過するときにエコー数が激減する「天頂効果」が見られます.ロングエコーもそこそこ見られると思いますので,充実した流星群活動となるでしょう.電波観測には月明かりは関係ありませんが,ピークが日中なのは残念ですね.とはいうものの,10日あたりからは多くの流星が観測できるでしょう.
 このほか,22日23時には,こぐま座流星群が極大を迎えますが,突発出現がない限り,その活動を捉えることは難しいでしょう.ただし,希に突発出現がありますので注意は必要です.前回は2014年に明瞭な活動がありました.