2025年10月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.
2025年10月度トピックス
10月はオリオン座流星群の他に10月りゅう座流星群や10月きりん座流星群がピークと予想されていました。オリオン座流星群は過去平均よりやや高めの活動、10月きりん座流星群と思われる活動があった様子、10月りゅう座流星群は特記すべき活動ナシという結果でした。この他、9月末から続いたろくぶんぎ座昼間流星群の結果もお伝えします。
オリオン座流星群
2025年の活動は、なだらかな高原状活動は例年通り。特記すべきような活動も見受けられませんでした。推定ピークは太陽黄経λ⦿=208°.97付近(10月22日20時JST付近)、推定Activity Levelは0.4です。過去2004年~2024年平均ではピークλ⦿=208°.8、Activity Level=0.3なので、ほぼ同規模。ただし、過去5年(2020~2024年)平均はActivity Level=0.2、過去10年(2015年~2024年)平均はActivity Level=0.1と、ここ最近の活動規模と比較するとやや上回ったようです。

ところで、2006年~2010年にかけて比較的活発な活動が見られた後、活動レベルを下げ続けていたオリオン座流星群ですが、2020年代に入ると少し活動レベルを上げたように見えます。経年変化として2004年以降の全平均推移、過去10年平均推移、過去5年平均推移を見ていますが、5年平均、10年平均共に活動レベル(Activity Levelの値)が上向きになってきています。来年度以降、この傾向がどうなるのか気になります。
10月りゅう座流星群
2025年は国際流星機構のMeteor Shower Calendar から2012年放出のダストトレイルと接近する予想(λ⦿=195°.238~195°.269:10月9日0時JST台)が出ていましたが、電波観測でその様子を捉えることはできませんでした(出現していないかどうかは別問題です。あくまで電波観測では捉えられなかったというだけです)。

なお、λ⦿=190°.7(4日10時JST)やλ⦿=197°.6(11日9時JST)付近の値が上がっており、気にはなります。もちろん、偶発的なエラー、他流星群の可能性もあります。参考情報としてお取り扱いください。
10月きりん座流星群
2025年の活動ピークはλ⦿=192°.78(10月6日12時台JST)付近と推察されます。その前のλ⦿=191°.56(10月5日6時台)付近やさらにその前のλ⦿=189°前後でも値が上がっているのが気にはなりますが、現時点では、おそらく偶発的な値であり、活動の中心はλ⦿=192°.78だと思われます。杉本氏の集計ではλ⦿=193°.0で推定ZHR26とされています (参考:https://jpn.iprmo.org/post/flash/oct-2025.html )。

ろくぶんぎ座昼間流星群
世界のデータから推定されるピークはλ⦿=188°.4付近(10月2日2時JST付近)となり、過去2006年~2024年平均値λ⦿=188°.8と比べるとやや早いですが、半値幅が長いことを考えると誤差の範囲です。活動規模も2025年推定値は0.5ですが、こちらも特に今年が活発/不発ということはなく、過去と同規模で推移しました。

月例報告・Activity Level
流星電波観測会報(月例RMOJ)
Radio Meteor Observation in Japan No.288として更新.国内11地点14データを収録.
(藤戸様,杉本様,坪井様,中村様,信太様,大塚様,鈴木様,吉川様,奥野様,松田様,脇田様)
2025年10月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)
RMOJのデータに加え,狩野正樹様のデータも加えて算出しています.10月は分析をすればいろいろと見えてくるものの、今月は10月頭の値が高いのが気になるくらいですね。あとは20日~23日頃のオリオン座流星群と思われる活動が薄っすら見える程度です。10月末など他に気になる動向はありません。

ロングエコー関連の報告
1日のロングエコー(国内統合)
10月の国内電波観測によるロングエコー数は、1ヶ月を通して過去5年平均とほぼ同じ傾向で推移しました。
オリオン座流星群と思われるロングエコーピークは日本時間で24日。先の報告よりオリオン座流星群の活動の中心が22日20時だったことを考えると、1日遅れでロングエコーのピークがやってきています。オリオン座流星群はエコー数のピークとロングエコーのピークがずれるのは珍しい話ではなく、よく見られます。
このほか、10月前半と後半が多く、中旬は少なめという過去と同様の傾向で推移しました。2025年に限っての何か特異日といった傾向もありませんでした。