2025年8月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.
2025年8月度トピックス
8月はペルセウス座流星群がピークを迎えました。また、8月上旬は7月後半から続くみずがめ座δ流星群の活動が捉えられました。
ペルセウス座流星群
2025年ペルセウス座流星群は2つのピークを捉えています。ここ数年、ペルセウス座流星群は通常ピーク後に顕著な活動を見せたり、数時間レベルの増加を見せたりと興味深い活動を見せ続けています。

活動は日本時間で11日未明(太陽黄経λ⦿=138°.5付近)からエコー数の増加が顕著になり、15日未明(λ⦿= 142°.0付近)には終息しています。ピークは2回観測されており、日本時間で13日3時頃(λ⦿=139°.95)と14日0時頃(λ⦿=140°.79)です。過去平均(Figure1ではグレー線)の活動と比較しても突出しており、何らかの活動があった可能性があります。国際流星機構(IMO)のMeteor Shower Calendar 2025では、Vaubaillon氏によるダストトレイルとの接近が12日22時JST頃(λ⦿=139°.736)に、Jenniskens氏は12日13時JST頃(λ⦿=139°.38)とされていました。少し時間が離れているので関連は微妙です。2つめのピークはここ数年観測されています。2023年はλ⦿=140°.84、そして2024年はλ⦿=140°.75で観測されており、ピークは2025年と同規模です。いまだにこの活動が何かはわかりませんが、こう数年レベルで見られると気になります。
みずがめ座δ流星群
7月後半から8月前半にかけて活動を見せているみずがめ座δ流星群ですが、IPRMOによると、2025年の活動は7月19日頃には見られるようになり、7月29日~31日にかけてピーク。その後8月8日頃には終息したと思われます(グラフでは8日以降再上昇していますが、これは例年見られる傾向で、ペルセウス座流星群による影響と思われます)。

ピークは7月30日0時JST頃(λ⦿=126°.4)と推定されます。過去平均(2005年~2024)はλ⦿=125°.8±0°.7のため、ピークは遅め。過去10年平均でもλ⦿=125°.9±0°.4のため、今年はピークが遅かったようです。なお、活動規模は過去平均と同規模でした。
この他、λ⦿=121°付近の値が上がっているように見えますが、これも例年と同傾向で、λ⦿=120°~123°で、このように「こぶ」のような活動が見られます。過去平均ではλ⦿=121°.9±0°.8です。不明瞭な年も確かにありますが、ほぼ毎年捉えられています。原因はよくわかりません。みずがめ座δ流星群に起因しない可能性も当然ながらあります。
月例報告・Activity Level
流星電波観測会報(月例RMOJ)
Radio Meteor Observation in Japan No.286として更新.国内11地点14データを収録.
(藤戸様,杉本様,坪井様,中村様,信太様,大塚様,鈴木様,吉川様,奥野様,松田様,脇田様)
2025年8月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)
RMOJのデータに加え、狩野正樹様のデータも加えて算出しています。ペルセウス座流星群の結果が、思いの外顕著に出たという印象です。対地速度が遅いので、例年ここまで綺麗に出ないことが多いです(Activity Level=1.0付近のイメージ)。この他、上旬は7月から続くみずがめ座δ流星群の影響でしょう。その後は特に目立った活動は見られません。

ロングエコー関連の報告
1日のロングエコー(国内統合)
8月の国内電波観測によるロングエコー数は、例年通りペルセウス座流星群のピークにあわせて増加しました。ピークは13日。前日の12日は過去平均よりも多め。ピーク後の14日や15日は過去平均と比較すると少なめでした。この他、5日~7日にかけてと、26日~29日にかけてもやや多めで推移しました。