2025年5月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.
2025年5月度トピックス
5月は、みずがめ座η流星群がピークを迎えました。この他、昼間流星群の活動も見られています。
みずがめ座η流星群集計結果
世界18か国57データから集計された結果です。2025年の活動は、活動を近似すると例年値より低いものの、ほぼ過去平均と同水準で推移。太陽黄経40°を越えたあたりから活動は顕著に。太陽黄経44°~46°付近は同程度で推移。その後緩やかに減少。なお、2025年は、太陽黄経45°.4付近(5月5日23時UT付近)で活動規模が上がっています。Activity Levelの値も1.9と高くなりました。前後2、3時間の範囲だと思いますが、これがリアルかどうかは光学観測などとの検証が必要です。この他、太陽黄経48°~49°付近(9日付近)も活動規模が減少傾向とはいえActivity Level=0.5~1.0付近を維持しています。

ロングエコー推移は5月5日(JST)も多いですが、それと同規模か越えるロングエコーを9日(JST)も観測されています。観測地点によっては8日もそれなりに多く、この頃の活動がみずがめ座η流星群によるものか、別の昼間流星群などによるものかは不明です。ただし、気になる傾向です。
2025年5月昼間流星群
① 5月おひつじ座南昼間流星群(Southern Daytime May Arietids [156SMA])
IPRMOによる2025年の結果では17日UTを中心にActivity Levelの値が上がりました。太陽黄経では56°付近になります。IAU Meteor Data Centerの値では52°.7のため、数日遅い出現となり、確度は微妙です。一方で、IPRMOによる過去平均値からやや強引にピークを求めると、56°.5となり、まずまずの一致です。
② くじら座ω北昼間流星群(Northern Daytime ω-Cetids [152NOC])
IPRMOが算出している過去平均値(ピークλ⦿=52°.0)と比較すると、ピークはλ⦿=49°.0付近となり、早かったと推測されます。放射点位置はKoseki(2021) の値を使っています。国立天文台にある「IAUで確定した確定流星群一覧」では、 ピーク太陽黄経がλ⦿=52°.7、Koseki(2021)ではλ⦿=52°.5、IAU Meteor Data Centerはλ⦿=47°.8と少し早め。2025年の結果からはIAU MDCのデータの方が近かったようです。ただし、活動規模は決して高くないので、参考程度でしょう。
③ くじら座ω南昼間流星群(Southern Daytime ω-Cetids [153OCE])
2025年のピークはλ⦿=49°.3付近とIPRMOでは推測しています。過去平均ではλ⦿=48°.8付近であるため。少々遅かったというくらいでしょう。ただし、IAU Meteor Data Centerはλ⦿=48°.6、CMORではλ⦿=49°.5となっているため、2025年の結果もまずまずの一致であったとえそうです。
④ おひつじ座ε昼間流星群(Daytime ε-Arietids [154DEA])
λ⦿=49°.0付近がピークと思われます。過去平均ではλ⦿=51°.3という値も出ていますが、規模が小さいため、過去平均の範囲を変えると、値は結構動きます。IMOではλ⦿=48°.7となっているので、2025年はIMOのデータに近い結果となりました。ただし規模は小さいので参考程度。
⑤ 5月おひつじ座昼間流星群(Daytime May Arietids [294DMA])
過去平均ではλ⦿=54°.2付近とIPRMOでは推測していますが、活動規模が低く定かではありません。IMOではλ⦿=55°.5と記載されています。2025年はλ⦿=56°.5~57°.0付近で活動規模があがっています。ただし規模は小さいので参考程度。
月例報告・Activity Level
流星電波観測会報(月例RMOJ)
Radio Meteor Observation in Japan No.283として更新.国内11地点14データを収録.
(藤戸様,杉本様,坪井様,中村様,信太様,大塚様,鈴木様,吉川様,奥野様,松田様,脇田様)
2025年5月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)
RMOJのデータに加え、狩野正樹様のデータも加えて算出しています。

ロングエコー関連の報告
1日のロングエコー(国内統合)
5月の国内電波観測によるロングエコー数は、前半にみずがめ座η流星群の影響と思われる増加が見られます。ただし、過去5年平均と比較すると、出現数は少なかったようです。なお、9日が例年の1.5倍と多め。みずがめ座η流星群の影響であれば、同日のActivity Levelが0.5~1.0付近を維持していることからも気にはなります。この頃をピークとする昼間流星群もあるため、要因は気になります。この他、13日や20日も頭一つ周囲と比較すると多かったようです。