2025年3月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.
2025年3月度トピックス
3月は例年何も起きない月ですが、Activity Levelの値としては、3月5日と20日少し手前に増加が見られたものの、現時点では偶然の可能性が高いと判断しています。(後述します)
月例報告・Activity Level
流星電波観測会報(月例RMOJ)
Radio Meteor Observation in Japan No.281として更新.国内10地点12データを収録.
(藤戸健司様,杉本弘文様,坪井正紀様,中村知弘様,信太浩信様,大塚博隆様,鈴木浩様,吉川泰史様,奥野浩一郎様,松田正彦様)
2025年3月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)
RMOJのデータに加え、狩野正樹様のデータも加えて算出しています。
3月は例年何も起きない月ですが、Activity Levelの値としては、3月5日と20日少し手前に増加が見られました。5日付近の増加は4日23時UT頃~5日1時UT頃(太陽黄経:λ⦿=343°.9~344°.0)です。また、20日少し手前の増加は19日19時UT~22時UT(太陽黄経:λ⦿=358°.7~358°.8)の値が高くなりました。
これらの増加について、現時点では特に原因として思い当たるものはなく、偶然の産物の可能性が高いと考えています。背景として、①5日も19日も、海外データでは特に顕著な増加は見られないこと、②国内データも19日20時台は全データの7割が高い値を示しているものの、他の時間帯は、全体の4割程度のデータのみが高い値を示しており、半数以下の傾向を全体の傾向とするには無理があります。従って、これらの背景から、現時点では偶然の可能性が高いと思われます。もちろん何らかの流星群を仮定すると活動を見出すことはできるかもしれません。海外データを含め、時間がある時に、いくつか試してみようと思います。

ロングエコー関連の報告
1日のロングエコー(国内統合)
3月の国内電波観測によるロングエコー数は、特に異常な増加もなくほぼ同数で推移しました。これといった特異日もみられません。また、過去5年間の平均値と比較しても特に異常はありませんでした。流星電波観測国際プロジェクトのロングエコー掲示板に投稿されたロングエコーからは、長時間継続するエコーがいくつか報告されていますが、特に3月4日8:08:50JSTに出現したロングエコーは各地で1分を超えるロングエコーとなったようで、信太さん(秋田県)の観測画像では、およそ3分近いロングエコーとなりました。