2025年6月度月例報告(RMOJ)

2025年6月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.

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2025年6月度トピックス

6月は、昼間流星群がピークを迎えました。

おひつじ座昼間流星群、ペルセウス座ζ昼間流星群

6月8日~11日にかけて、昼間流星群がピークを迎えたようです。例年、おひつじ座昼間流星群(171ARI)とペルセウス座ζ昼間流星群(172ZPE)は同時期にピークを迎えるため、活動が重なっていると推測されます。この前提に基づき、この頃の活動を、おひつじ座昼間流星群の放射点情報を用いて集計した場合と、ペルセウス座ζ昼間流星群の放射点情報を用いた場合とで、それぞれ計算し、2要素に分解して活動を推定しています。Figure 1はおひつじ座昼間流星群の放射点情報を用いて世界のデータを集計した結果です。Figure 2はペルセウス座ζ昼間流星群の放射点データを用いた結果です。

Daytime Arietids 2025
Figure 1 – おひつじ座昼間流星群の放射点情報を用いた世界統合結果(IPRMO:青線が近似曲線)
Daytime zeta-Perseids
Figure 2 – ペルセウス座ζ昼間流星群の放射点情報を用いた世界統合結果(IPRMO:青線が近似曲線)

Figure 1、Figure 2ともに近似曲線(青線)は、以下の通り、それぞれ2要素で構成されています(Table 1)。Table 1より、おひつじ座昼間流星群の活動はおそらく、Comp1であり、ペルセウス座ζ昼間流星群がComp2と思われます。IPRMOによる過去平均では、おひつじ座昼間流星群と推定される活動が、ピーク太陽黄経(λ⦿(max) ) = 77°.9±0°.1、Activity Level (ALmax) = 1.0±0.1と推定されています。この内容からすると、ピーク時刻もActivity Levelもほぼ例年並みだったようです。一方、ペルセウス座ζ昼間流星群λ⦿(max) = 83°.8±0°.8、Activity Level (ALmax) = 0.7±0.1と、こちらも例年並みだったようです。もちろん、この推定には、前提を置いていますので、光学観測との検証も必要になってくるでしょう。

Table 1 – Figure1及びFigure2を2要素分解した結果

用いた放射点情報 Comp1 Comp2
λ⦿(max) AL(max) FWHM(λ⦿) λ⦿(max) AL(max) FWHM(λ⦿)
おひつじ座昼間流星群 78°.0 1.2 -4°.5/+4°.5 84.2 0.5 -5°.5/+5°.0
ペルセウス座ζ昼間流星群 77°.0 0.9 -4°.0/+4°.0 83.5 0.7 -5°.0/+4°.5

 

月例報告・Activity Level

流星電波観測会報(月例RMOJ)

Radio Meteor Observation in Japan No.284として更新.国内11地点14データを収録.
(藤戸様,杉本様,坪井様,中村様,信太様,大塚様,鈴木様,吉川様,奥野様,松田様,脇田様)

2025年6月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)

RMOJのデータに加え、狩野正樹様のデータも加えて算出しています。6月上旬は冒頭に記載のとおり、昼間流星群によるものでしょう。天頂効果が見えているのも印象的です。

Meteor Activity in June 2025
2025年6月の流星電波観測結果(放射点補正なし、国内データのみ)

ロングエコー関連の報告

1日のロングエコー(国内統合)

6月の国内電波観測によるロングエコー数は、過去平均よりやや多めに推移したようです。昼間流星群がピークを迎える9日/10日は前後と比べるとやや多めですが、有意といえるほどの出現ではありません(5年平均の誤差を考慮したらその範囲です)。これは、例年この傾向で、6月の昼間流星群ではエコー数は増えるものの、それに応じてロングエコー数が顕著に増えるわけではありません。
中旬は過去平均並み。下旬は20日に過去平均値よりも多く出現したようです。

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