2024年12月度月例報告(RMOJ)

2024年12月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.

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2024年12月度トピックス

ふたご座流星群は2023年に引き続きサブピークを検出。推定活動規模は過去最大

流星電波観測国際プロジェクト(IPRMO)による、ふたご座流星群の電波観測結果です。

2024年ふたご座流星群集計結果(世界データ)。下グラフは構成要素に分解

2024年のふたご座流星群の推定ピークは、太陽黄経λ⦿=262°.03(12月14日6:30)頃で、過去10年平均値(λ⦿=262°.15)より少し早めにピークを迎えました。また、推定ピーク値は、過去10年平均値AL=4.5に対し、Activity Level(AL)=6.5と推定され、過去最大の値でした(Comp.1)。国内では、ピークの頃のロングエコー数が、過去5年平均と比較すると若干多めに推移しました。特に日本時間で14日は多くなりました。

2023年に見られたサブピーク(λ⦿=260°.0)については、同時間帯に目立った増加はありませんでした。一方で、λ⦿=260°.81(12月13日1:30)を推定ピーク時間とするサブピーク(Comp,2)が観測されています。このサブピークが何かは現時点ではわかりませんが、あまりサブピーク構造が見られないふたご座流星群が、2023年に続き2年連続で明確なサブピークが見られたことはとても興味深いです。

こぐま座流星群は例年の活動に加え小規模な増加を確認

2024年のこぐま座流星群は、λ⦿=270°.39(22日11時台)にピークが観測されました。

2024年ふたご座流星群集計結果(世界データ)。下グラフは構成要素に分解

活動を要素分解すると、例年の活動 (Comp.1)はλ⦿=270°.47(22日13時台)をピークとしたActivity Level=0.4と推測され、過去平均値と比較するとやや早めの結果となりました。これに加え、Comp.2として、λ⦿=270°.39(22日11時台)を中心とする活動があったと思われます。なお、P.Jenniskens氏によって、λ⦿=270°.27(22日08:49)でフィラメントとの接近が予想されていたため、もしかしたらこの接近に伴う活動かもしれません。

この他、ピークから1.5日後のλ⦿=272°.00(24日1時台)を中心に活動レベルが若干上昇しています。構成要素としてはComp.3として入れてみましたが、時間として離れていること、規模が小さいことから活動としては不確実です。あくまで参考程度で。

月例報告・Activity Level

流星電波観測会報(月例RMOJ)

Radio Meteor Observation in Japan No.278として更新.国内8地点10データを収録.
(藤戸健司様,杉本弘文様,坪井正紀様,中村知弘様,信太浩信様,大塚博隆様,鈴木浩様,吉川泰史様)

2024年12月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)

RMOJのデータに加え、狩野正樹様のデータも加えて算出しています。12月中旬の活動はふたご座流星群によるものです。12月6日頃までActivity Levelの値がプラスに振れているのは例年と同じ傾向。また、28日以降のActivity Levelの値があがってきているようにみえますが、おそらくその前の期間のActivity Levelがふたご座流星群の影響でマイナスに振れているためと思われます(通常値を前2週間で定義しているため)。

2024年12月の日本国内データによるActivity Level(UT)

ロングエコー関連の報告

1日のロングエコー(国内統合)

12月の国内電波観測によるロングエコー数は、過去5年平均と比較すると多めで推移しました。ふたご座流星群の期間に増加。日本時間で14日ロングエコー数が最大となりました。なお、12月4日もロングエコー数が多く出現しています。12月後半のロングエコー数は少なく、前半から中旬にかけて過去5年平均と比較すると多くなりました。

ロングエコー2024年総括

2024年全体を総括すると、みずがめ座η流星群やペルセウス座流星群のロングエコー数は過去5年平均と比較すると大幅に少なく、2024年後半特に11月~12月は多めに推移しました(国内データのみ)。

上グラフ:過去5年のロングエコー平均(実線)と2024年ロングエコー数(棒)
下グラフ:過去平均と観測されたロングエコー数との差分(+が平均比多) ※国内データのみ
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