5月29日~30日にかけて各地でEスポ(Sporadic-E)が観測されました。毎年6月~8月にかけて日中を中心に観測されますが、いよいよシーズン到来といった様相です。
5月30日夕方のEスポ
この日は午前もひどかったのですが、夕方は強烈でした。下の図はつくばサイトの89.4MHzにおける16:00~19:00までのHROFFT画像です。
1枚が10分です。16:20頃から始まったEスポは、18:40頃まで強弱を繰り返しながら続きました。この頃の全国画像が次の図です。各地で一面Eスポ状態です。ただし、サイトによっては見られないところもあります。これはこれで不思議というかおもしろいですね。送信局と受信局の位置関係によっても違うときがあります。例えば、宝塚の81.9MHzはNHK-FM横浜放送を受信しているので、他のサイトのように朝鮮半島の送信局ではありません。つまり送受信局の位置関係が異なります。同様に以下の図にはありませんが、HROでも送信局(福井)の西側と南や東側とでは出現状況・強度が違います。
厄介なのはロングエコーの見極め
この頃はロングエコーかEスポかを見極めるのが難しくなります。特に、ロングエコータイプでいうとタイプCの判断は容易ではありません。その時の判断材料は他サイトと比較するしかありません。通常ロングエコーはサイトによって形状が異なります。以下のロングエコー掲示板には、よく見つけたというロングエコーだと思います。他サイトでは形状が異なっており、これはロングエコーの可能性が高いでしょう。
なお、ロングエコータイプは以下にあります。参考まで。。。
様々な形状を見せるロングエコーをいくつかの類型(タイプ)に分けてみました。…
これからが最もEスポなどが発生しやすい時期
以下のグラフは2022年のつくばサイト92.5MHzにおけるEスポ(棒グラフ:左軸)と混信・ノイズ(折れ線グラフ:右軸)の年変化です。
縦軸は「出現回数」です。HROFFTは10分に1枚の画像を生成していますが、Eスポや混信・ノイズが発生した画像数をカウントしています。つまり、6月では1カ月で120枚を超える画像にEスポが発生していたということです。これに加えて6月は500枚を超える画像に混信・ノイズが含まれていたことになるので、全体で620枚。1カ月で4320枚(1日144枚×30日)ですので、実に15%近くがEスポや混信・ノイズによって観測ができなかったということになります。8月頃までこの状況が続くでしょう。
アマチュア無線では遠方との交信が可能になるという見方がありますが、流星電波観測では、観測不能になってしまうので、歓迎された現象ではないのです・・・。