2022年に眼視観測(目で見る場合)によって見られる流星群について,月毎にオススメの流星群をピックアップし,いつ見たらよいのか,どちらを見たほうがいいのか,見るうえでのポイントを紹介しています.なお,2022年において,三大流星群の中では,しぶんぎ座流星群の観測条件が良好です.
毎月の流星群情報
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2022年流星群活動展望(総論)
2022年はしぶんぎ座流星群が比較的好条件下で見ることができます.ピーク時刻そのものは薄明時刻ですが,月明りはなく,1月4日に日付が変わった頃から夜明けまで見ることができるでしょう.ペルセウス座流星群は満月で夜明け後のピークと観測条件としては悪いのですが,2021年には1.5日後に突発出現があったこともあり,気にはなります.ふたご座流星群も,下弦の月明かりがあるので,条件は良くありません.
この他,いくつか例年にはない活動の予想もされていますが,日本からは日中だったり,放射点が沈んでいたりと条件はよくありません.12月22日23時頃にはこぐま座流星群の母天体による843年放出のダストトレイルとの接近が予想されています.
2022年の三大流星群の概況
三大流星群とは,しぶんぎ座流星群,ペルセウス座流星群そしてふたご座流星群のことです.2022年の三大流星群について,概況をまとめておきます.
流星群名 | 活動期間 | ピーク時刻(日本時) | 月齢 | 総論 |
---|---|---|---|---|
しぶんぎ座流星群 | 12月28日~01月12日 | 01月04日6時頃 |
月齢1 |
4日未明が好条件 |
ペルセウス座流星群 | 07月17日~08月24日 | 08月13日10時頃 |
月齢15 |
満月!明るい流星に期待 |
ふたご座流星群 | 12月04日~12月17日 | 12月14日22時頃 |
月齢21 |
ピークは夜間も月がある.流星数は多いので明るい流星に期待 |
以下のページには,年間の流星群を表形式で掲載していますので,一覧でご覧になりたい場合,ご利用ください.本ページでは詳細にお知りになりたい場合に,ご活用ください.
・流星群リスト【公式版】(※国立天文台による)
・電波観測の2022年流星群観測展望
・年間主要流星群リスト【眼視観測編】
・年間主要流星群リスト【電波観測編】
1月の流星群
1月にピークを迎える「しぶんぎ座流星群」の2022年観測条件は,月齢1とほぼ新月で月明りを気にすることなく観測できるでしょう.ピーク時刻は4日6時頃と,日本では既に周りが明るくなってきています.東京の日の出は6:51です.3日夜半前から4日未明にかけてがお勧め.夜明けに向けて流星数が増え,夜明けとともに見えなくなっていくでしょう.なお,電波観測では好条件で観測できます.
ご覧になる際は,この頃の夜はメチャクチャ寒い(真面目に寒いです)ので,防寒対策はしっかりしてから観測に臨んでください.車で移動される方は路面の凍結と,観測後暖かな車内での居眠り運転にはくれぐれもご注意ください.
1月の流星群として,しぶんぎ座流星群以外では,2015年にかに座κ流星群の突発出現が1月10日に観測されています.2016年以降はこの活動は観測されていませんが,2015年と同様であれば,ピーク時刻は1月10日7時頃になります.夜明け頃には月明りもないので観測条件は良いですが,特に突発出現の予測も発表されていないので,2022年も何事もないかもしれません.
この他,1時間当たりの出現数が1~数個レベルの小流星群の活動はありますが,1時間に10個を超えてくるような活動はないでしょう.
2月の流星群
例年,2月は目立った流星群の活動はなく,顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.
ケンタウルス座α流星群は,1974年や1980年に突発出現が観測されており,近年では2015年にも報告があります.ピークは2月8日とされています.ただし,放射点位置が赤緯-59度となるため,東京をはじめ日本のほとんどでは放射点が昇らず,小笠原や南西諸島でわずかに放射点が顔を出す程度です.従って,東南アジアや南半球で,もし出現すれば見ることができるでしょう.
3月の流星群
2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定がメインです.
4月の流星群
4月22日夜~23日に「こと座流星群」が活動を見せます.2022年の観測条件としては,月齢21と下弦の月があります.ピークとなる23日4時頃は,東京の場合,既に薄明が始まっています.月明りを視界に入れないよう,23日に日付が変わった頃から注目してみてください.活動規模は年によります.1時間に数個程度です.月明りは万国共通なので,ピーク時刻から言えば,日本の観測条件はまずまずの条件といえるでしょう.なお,こと座流星群のピークは短いので,前後の夜では見られる流星数が大幅に減るでしょう.
5月の流星群
5月は,大型連休の後半にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2022年は月齢5で,放射点が昇る夜半以降に影響はなく好条件.ただし,ピーク時刻が6日17時頃と日本からは夕方.ただし,みずがめ座η流星群は性質上,同じ活動規模が数日続きますので,5日未明や7日未明でも見ることができます.5月大型連休とも重なりますので,比較的見やすい流星群です.なお,みずがめ座η流星群は,12年周期で活動が活発化する傾向があり,2023年~2024年にまとまった流星が見られる可能性があります.
海外では,みずがめ座η流星群が低緯度や南半球では,みずがめ座自身が空高くに昇るので,多くの流星を見ることができるでしょう.観測適地はピーク時刻からするとアメリカが好条件.
この他,2022年は15日19時頃に小惑星2006GY2由来の流星群の可能性,25日17時頃の209P/LINEAR彗星関連,そして31日14時頃にヘルクレス座τ流星群の活動の可能性がそれぞれ指摘されています.ただし,これらは想定時刻が全て日本からは日中となりますので,この時刻通りであれば,日本からは電波観測で観測することになるでしょう(もちろん確実なことではないので,良くも悪くもズレることはあります).
6月の流星群
6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.1998年と2004年に活発な活動を見せましたが,2022年は現時点で突発出現の予想は発表されていません.月齢28なので月明りを気にする必要はないでしょう.ピーク時刻は6月28日1時頃と放射点高度も十分にある時間帯ですが,仮に何らかの活動があったとしても,この日時とは限りません.
この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.電波観測では,昼間流星群が年間最大の活動を見せます.
7月の流星群
7月になるといよいよ流星群観測シーズンの到来といった様相となります.7月下旬には,みずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じると思います.活動は21時前後には放射点がそれぞれ昇ってきていますので,その後は朝まで観測できます.この2つの流星群はほぼ同時期の活動となりますが,やぎ座流星群はみずがめ座δ流星群より速度が遅いため,やぎ座流星群の方がゆっくり流れて見えるでしょう.
2022年は7月29日が新月なので,観測条件は良好.また,この頃は1年の中でも夜の冷え込みが緩くなりますので,夏の夜空と流れ星を楽しんでください(ただし,結露はしやすく,夜露に体が濡れて冷えることがあるのでご注意ください(あと虫刺されにもご注意を!).ワンポイントアドバイスとして,ご都合等でピーク前後にご覧になりたい場合は,ピークとされる30日を挟んで前に倒すよりは後ろに倒した方が,見られる流星総数としては多くなるでしょう.
8月の流星群
8月は,ペルセウス座流星群がピークを迎えます.2022年は12日が満月でピークとなる13日未明は一晩中月明りがあります.ピークも13日9時~10時頃と日中のため,13日は増加傾向で夜明けを迎えるでしょう.見るポイントは,とにかく月を視界に入れないこと.夜半頃は北側を,夜半以降は東側を見るようにして,月を視界に入れないよう工夫してください.明るい流星も多く,夜の冷え込みも弱いため,流れ星がとても見やすい時期と言えるでしょう.なお,2021年にはピークとされる時刻の約1.5日後に突発出現を見せました(2021年ペルセウス座流星群電波観測結果).もし,昨年同様だとすると,2022年は8月15日0時頃に相当し,日本では夜間となります.月明りはありますが,放射点は昇っているので,何らかの活動があるかどうかは確認できるでしょう.
海外でも月明りは共通.ペルセウス座流星群が見られるのは主に北半球です.北米や欧州,アジア,ハワイなどで見ることができるでしょう.ただし,あまり高緯度過ぎると,白夜で空が暗くならないこともあるので,北半球でも中緯度地域が適しているでしょう.ピーク時間帯からすると,好条件で見られるのは,ヨーロッパ.海外でご覧になる際は,特に治安には十分ご注意ください.
このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群がピークを迎えます.2021年は比較的多くの流星が観測されました.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,月末頃には活動が落ち着くと思われます.
この時期の夜は寒くはありませんが,夜露で体が濡れることが多く,意外と涼しく感じます.特に山でご覧になる方は,綿の服よりは,防水性のある服のほうが良いでしょう.また,野生動物との遭遇もよくある話です.イタチやタヌキ、キツネなど私も何度か”お会い”したことがあります.小動物は刺激しなければまず大丈夫ですが,大型動物と出会うと危険なので,念のため自治体の注意情報や周辺施設の情報に注意しておきましょう.また,蚊に刺されやすい人は,虫よけも忘れずに.気づいたらすごく蚊に刺されていた人がいました.
9月の流星群
9月は,ちょうど流星群活動の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った流星群はありません.ただし,2021年には9月1日早朝に,事前に予想された突発出現が流星電波観測で観測されました(ご参考:2021年ぎょしゃ座流星群観測結果).2022年も同様に予想されていますが,ダストトレイとの距離が2021年より広く,出現数は少ない可能性があります.加えて,日本からは9月1日10時頃が予想されている時刻なので,この通りであれば眼視観測では見られないでしょう.1日未明に何らかの活動があるかチェックするくらいでよいでしょう.
この他,9月ペルセウス座ε流星群も活動します.元々流星数が多い流星群ではありませんが,2021年は例年より気持ち多かったのか,よく話題に上がりました.電波観測でも捉えられる年もあります.
10月の流星群
10月は上旬に10月りゅう座流星群がピークを迎えます.国際流星機構で記載されているピーク時刻では,9日10時(日本時)ですが,実際,過去のピークはこの時間からズレており,あまり気にしないほうがいいかもしれません.月明りは月齢13と満月前で悪条件.直近では2011年,2012年,2018年に突発出現が観測されていますが,今のところ2022年に突発出現の予想は出ていません.
10月22日未明には,オリオン座流星群が極大を迎えます.2022年のピーク予想時刻は22日3時頃(日本時)と日本では夜間となり好条件,しかも月齢26と月明りもそう気にならないでしょう.活動そのものは数日間同じ活動となるので,ピーク時刻はあまり気にせず,前後数日間見ることができます.オリオン座流星群は,2006年~2009年にかけて比較的活発な活動を見せましたが,その後は低調が続いています.
なお,この頃から夜はかなり冷えるようになります.しっかりと防寒対策をしてご覧になるようにしてください.
11月の流星群
11月はしし座流星群が極大を迎えます.2002年の素晴らしい活動を最後に,2009年にはZHR100程度の活動は見られましたが,当時のような華やかな活動はここ数年全く見られていません.基本的にはこの傾向がしばらくは続くと思われます.2022年のピークは18日8時頃(日本時)と,ピーク時刻は日中.また,月明りも下弦の月があるので,月を避けた観測が必要です.
なお,2022年は19日15:30頃に1733年放出のダストトレイルとの接近が予想されています.ただし,この時間帯は日中でしかも放射点が沈んでいるので,日本からは電波観測でも捕らえることはできません.この他,1600年と1800年放出のダストトレイルとの接近も予想されていますが,規模は小さい見込み.日本から夜間となるのは22日0時頃の1800年ダストトレイルとの接近です.流星数が多いという想定はされていませんが,月齢は27と気にならず,放射点も見える時間帯なので,確認してみるのもよいでしょう.
この他,おうし座流星群の北群が11月12日頃にピークを迎えます.数こそ多くはありませんが,1998年には火球が多く流れるなど,時々明るい流星が見られます.
12月の流星群
12月はふたご座流星群がピークを迎えます.2022年のふたご座流星群は,月齢21で22時頃に月が昇ってきてしまいます.下弦の月明りなので,夜空では存在感があります.当面は西側から天頂,その後は北西側と,月が視界に入れないような方向を時間と共に見るとよいでしょう.なお,もしご都合等で見る日をずらす場合は,ふたご座流星群の特性上,ピーク後急激に流星数が減るので,後ろにずらすより,前にずらしてください.とはいえ,前に倒すと満月に近づくので,月の存在感が増します.月明りは気にはなりますが,流星数そのものは元々多い流星群ですので,明るい流星に期待してご覧ください.
この他,12月22日~23日にかけて,こぐま座流星群がピークを迎えます.ピークは23日6時頃(日本時).23日が新月のため,観測条件は良好.23日未明がピークとなるでしょう.なお,2022年は12月22日23時頃に843年放出のダストトレイルとの接近が予想されています.また,22日19時頃にも多少の増加が指摘されていますので,22日周囲が暗くなってから,23日未明までは,流星数の変動に気を付けながらご覧になってください.
この頃の観測は極寒です.真面目に寒いです.防寒対策をしっかりしないと,寒くて耐えられなくなります.また,車で移動される場合は路面凍結や観測後は車内が暖かいので,居眠り運転には十分注意してください.
流星観測をするうえでの注意・留意事項
ご覧になる際は,少なくとも次の事にはご注意・ご配慮ください.多くの方が気持ちよく流星と触れ合うためにもルールとマナーは守りましょう.
- 私有地への立ち入りや,ゴミ,大きな声で騒ぐ等は厳禁(星を見る以前の問題).周囲へご配慮ください.
- 流れ星が見えると感動する気持ちはわかりますが,大声で騒ぎ続けることだけはやめましょう.
- 車で移動した後はエンジンのかけっぱなしは控えてください.
- 治安と野生動物には注意してください.
- お子様は必ず大人の方とご覧ください.
- 特に海外では治安の悪いところもありますので,十分にご注意ください.
以下,特に夏についての留意事項です.
- 夏場でも夜は冷えます.長袖は必ず持参しましょう.
- 虫(特に蚊)に刺される人が多くいます.虫よけも持参しましょう.
以下,特に秋~春についての留意事項です.
- 特に冬は想像を絶する寒さです.スキーウェアは必須.防寒対策を厳重に.
- 暖かい飲み物やカイロもよいでしょう.ただし,直火で暖をとるのはやめてください.
- 車での移動は,路面凍結にご注意.積雪地では,一酸化炭素中毒にも注意してください.
- 観測後暖かい車内では眠くなります.居眠り運転しないよう注意してください.
出典・参考資料
- Meteor Shower Calendar 2022(英文):国際流星機構(IMO)発行
- Meteor Data Center(英文):国際天文学連合
- 流星群の和名一覧:国立天文台
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) – International Meteor Organization (2014)
本ページに記載の情報は,可能な限り最新としていますが,更新が間に合わない場合もあります.また,これら流星群の出現を確実にお約束するものではありません.また,見られる流星数も空の条件や周囲の条件,地理的条件によって大きく変化しますので,予めご了承ください.