2024年8月度の日本国内流星電波観測者による電波観測結果の月次報告です.流星活動状況の報告,ロングエコーの出現状況などを掲載しています.
2024年8月度トピックス
8月はみずがめ座δ南流星群、ペルセウス座流星群がピークを迎えました。
みずがめ座δ南流星群
みずがめ座δ流星群の結果はほぼ例年並みでした。F赤線が過去平均値(ピーク太陽黄経125°.0、AL=3.0)です。
2024年のピークは太陽黄経125°.3(7月28日14時台JST)で、AL=3.0と推定されています。なお、例年のことですが、太陽黄経132°付近~136°付近はALが下がりきりません。これはおそらくペルセウス座流星群の影響と思われます。また、過去平均と比較するとピーク前の太陽黄経120°~122°付近もやや高めで推移したようです。 ただし、昨年と比較すると誤差が大きくなっています。元々ヨーロッパや北米など、比較的高緯度の観測地点が多く、放射点の補正が過剰になっていることに加え、8月は日本の53.755MHzの電波が停止したことで、別の周波数に移った方がいたこともデータ数を少なくしている要因です(バックグラウンド定義ができない)。
ペルセウス座流星群
流星電波観測国際プロジェクトでは、世界14ヵ国46データのデータから、通常ピーク前後でサブピークを検出しました。詳細はMeteorNewsに記載されていますが、通常ピークは太陽黄経139°.95~140°.03でActivity Leve=1.3と例年並みの活動。これに加えて、3つのサブピークを検出しています。
サブピークは通常ピーク前の太陽黄経139°.75~79(8月12日17時台~18時台JST)と、通常ピーク後の太陽黄経140°.75(8月13日17時台)にそれぞれ観測されています。特に通常ピーク後の活動については、ヨーロッパからアメリカにかけての各地で観測されており、AL=3.2、杉本弘文氏による推定ZHRr=159を記録しています。要素別に分解するとAL=2.2、推定ZHRr=110程度とされています。なお、たまたまなのかわかりませんが、2024年の日本国内の観測地点におけるロングエコー数は、過去5年比較で大幅に少なくなりました。
ここ最近、ペルセウス座流星群はおもしろい姿を見せます。2021年の141.5における突発出現もそうですが、140°.5~141°.5付近の活動は近年気になるところです。
参考:
Ogawa H. and Sugimoto H. (2024). “Perseids 2024 by worldwide radio meteor observations”. eMetN, 9, 350–352. (Web: https://www.emeteornews.net/2024/08/26/perseids-2024-by-radio/ )
月例報告・Activity Level
流星電波観測会報(月例RMOJ)
Radio Meteor Observation in Japan No.274として更新.国内7地点9データを収録.
(藤戸健司様,杉本弘文様,坪井正紀様,中村知弘様,信太浩信様,大塚博隆様,鈴木浩様)
2024年8月ActivityLevel(日本国内のみ/統合グラフ)
RMOJのデータに加え,狩野正樹様のデータも加えて算出しています.8月字中旬の増加はペルセウス座流星群によるもの、8月上旬のプラスはみずがめ座δ流星群の影響でしょう。みずがめ座δ流星群の影響は8月6日くらいまで見られているようです。ペルセウス座流星群は突発出現が観測されています。
ロングエコー関連の報告
1日のロングエコー(国内統合)
8月はペルセウス座流星群の影響により、ロングエコー数は多くなっています。ただし、過去5年間の平均値と比較すると全体的に少なく、過去少なかった2020年と同規模かそれよりも少なかったようです。
ペルセウス座流星群のピークとなる8月13日は例年値の7割、ピーク後の8月14日は例年値の3割にとどまっています。集計は、JSTにおける1日総ロングエコー数で集計しているため、あくまで参考程度でしかありませんが、2024年の通常ピーク時刻は12日23時頃で、少ないとされる14日は、ピークからすると1日~2日後となります。その観点から過去平均と比較すると、2024年の14日や13日の少なさは例年並み。むしろ11日や12日が少なく、11日は例年の半分、12日に至っては3割程度という結果でした。