2024年 流星群ガイド(眼視観測用)
2024年の流星群を見るにあたり,眼視観測(目で見る場合)によって見られる流星群について,月毎にオススメの流星群をピックアップしました.いつ見たらよいのか,どちらを見たほうがいいのか,見るうえでのポイントを紹介しています.なお,2024年において,三大流星群の中では,ペルセウス座流星群の観測条件が良好です.
[参考]
・電波観測の2024年流星群観測展望
[2025年版]
・電波観測の2025年流星群観測展望
・眼視観測の2025年流星群観測展望
2024年流星群活動展望(総論:ふたご座流星群は数年ぶりの好条件下)
2024年はペルセウス座流星群が比較的好条件.8月13日に日付が変わった頃から夜明けまでがお勧めです.この他,三大流星群の観測条件はイマイチで,月明りがあったり,ピークが日中だったりします.この他,みずがめ座η流星群や10月りゅう座流星群,しし座流星群,こぐま座流星群ではダストトレイルとの接近も予想されています.ただし,日中となっている場合があるのと,際立って数が多いという予想もないので,要チェックくらいでしょう.
2024年の三大流星群の概況
三大流星群とは,しぶんぎ座流星群,ペルセウス座流星群そしてふたご座流星群のことです.これら三大流星群の2024年観測条件をまとめました.
流星群名 | 活動期間 | ピーク時刻(日本時) | 月齢 | 総論 |
---|---|---|---|---|
しぶんぎ座流星群 | 12月28日~01月12日 | 01月04日18時頃 |
月齢22 |
月明りアリ.ピークは夕方 |
ペルセウス座流星群 | 07月17日~08月24日 | 08月12日23時頃 |
月齢9 |
月明りなく条件は良好 |
ふたご座流星群 | 12月04日~12月17日 | 12月14日10時頃 |
月齢14 |
14日未明がピークとなりそう |
以下のページには,年間の流星群を表形式で掲載していますので,一覧でご覧になりたい場合,ご利用ください.本ページでは詳細にお知りになりたい場合に,ご活用ください.
・流星群リスト【公式版】(※国立天文台による)
・電波観測の2024年流星群観測展望
・年間主要流星群リスト【眼視観測編】
・年間主要流星群リスト【電波観測編】
1月の流星群
1月にピークを迎える「しぶんぎ座流星群」の2024年観測条件は,月齢22と下弦の月明りがあります.また,ピーク時刻も4日18時頃と,日本からの観測条件は決して良くはありません.お勧めは4日未明ですが,5日未明も同様にみられるでしょう.電波観測でも放射点が沈んでいる時間帯にピークとなるため条件は悪いです.
ご覧になる際は,この頃の夜はメチャクチャ寒い(ホント真面目に寒いです)ので,防寒対策はしっかりしてから観測に臨んでください(ただし直火はやめましょう).車で移動される方は路面の凍結と,観測後,暖かな車内での眠気(居眠り運転)にはくれぐれもご注意ください.
1月の流星群として,しぶんぎ座流星群以外では,Mikhail Maslov氏によって,1月8日5:38頃(λ⊙=286°.70)に72P/Denning-Fujikawa彗星の1834年放出ダストトレイルと接近する可能性が指摘されています.しかし,放射点位置からして太陽のほぼ近くに位置し,電波観測でしか観測できません.この他,1時間当たりの出現数が1~数個レベルの小流星群の活動はありますが,1時間に10個を超えてくるような活動はないでしょう.
2月の流星群
例年,2月は目立った流星群の活動はなく,顕著な流星活動を捉えることはありません.ただし,眼視観測ではこの頃,いくつかの小流星群が活動し,その構造はとても興味深いものがあります.
ケンタウルス座α流星群は,1974年や1980年に突発出現が観測されており,近年では2015年にも報告があります.ピークは2月8日とされています.ただし,放射点位置が赤緯-59度となるため,東京をはじめ日本のほとんどでは放射点が昇らず,小笠原や南西諸島でわずかに放射点が顔を出す程度です.従って,東南アジアや南半球で,もし出現すれば見ることができるでしょう.
3月の流星群
2月同様,眼視観測・電波観測共に目立った活動は見られません.主体は2月同様,眼視観測では小流星群の特定がメインです.
4月の流星群
4月22日夜~23日に「こと座流星群」が活動を見せます.2024年の観測条件としては,月齢13とほぼ満月で悪条件.ピークも22日夕方と日中.活動規模は年によりますが,通常は1時間に数個程度です.元々数が多い流星群でもありませんので,22日と23日にご覧になってください.なお,こと座流星群のピークは短いので,前後の夜では見られる流星数が大幅に減るでしょう.
5月の流星群
5月は,大型連休の後半にみずがめ座η流星群が極大を迎えます.2024年は月齢27で,月明りを心配する必要はありません.ピーク時刻は6日6時頃と日本では夜明けと条件は良好.みずがめ座η流星群は性質上,同じ活動規模が数日続きますので,5日未明や7日未明でも見ることができます.5月大型連休とも重なりますので,比較的見やすい流星群でしょうす.なお,みずがめ座η流星群は,12年周期で活動が活発化する傾向があり,2023年~2024年にまとまった流星が見られる可能性があります.2023年はそこまで顕著な活動とはなりませんでしたが,2024年も要チェックです.A.Egal氏らの計算では5日22時頃を中心に前後半日,予想の時間帯も幅がありますが,例年より活発な活動が見られると計算されています.この他もいくつか情報はあるので,2024年は3日未明~7日未明にかけてご覧になる方はチェックしてみましょう.
海外では,みずがめ座η流星群が低緯度や南半球では,みずがめ座自身が空高くに昇るので,多くの流星を見ることができるでしょう.観測適地はピーク時刻からすると太平洋・オセアニア.
この他,2022年に活動が検出された209P/LINEAR彗星に関連する「きりん座流星群」について、2024年も5月23日~24日にかけてダストトレイルとの接近が予想されています.きりん座そのものは北の空で日本では放射点が沈むことはありません.規模は発表されていないので,どの程度になるかはわかりません(もちろん確実なことではないので,良くも悪くもズレることはあります).
6月の流星群
6月は,月末に,6月うしかい座流星群が極大を迎えます.1998年と2004年に活発な活動を見せましたが,2024年は現時点で突発出現の予想は発表されていません.月齢21.夜半から月が昇ります.ピーク時刻は6月27日14時頃と日本からは日中.ただし,仮に何らかの活動があったとしたら,この日時とは限りません.
この流星群以外には,眼視観測で見られるものとして,特に目立った流星群はありません.電波観測では,昼間流星群が年間最大の活動を見せます.
7月の流星群
7月末,学校では夏休みに入って直後にみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群が極大を迎えます.眼視観測では,7月26日頃からは明らかに流星数が増えたと感じるでしょう.活動は21時前後には放射点がそれぞれ昇り,その後は朝まで観測できます.この2つの流星群はほぼ同時期の活動となりますが,やぎ座流星群はみずがめ座δ流星群より速度が遅いため,やぎ座流星群の方がゆっくり流れて見えるでしょう.
2024年は7月31日が月齢25.下弦を過ぎた月であり,日付が変わった後に昇ります.付き合が昇ってきたら月を視界に入れないようにしましょう.この頃は1年の中でも夜の冷え込みが緩くなりますので,夏の夜空と流れ星を楽しんでください(ただし,結露はしやすく,夜露に体が濡れて冷えることがあるので長袖は必須です(あと虫刺されにもご注意を!).ワンポイントアドバイスとして,ご都合等でピーク前後にご覧になりたい場合は,ピークとされる31日を挟んで前に倒すよりは後ろに倒した方が,見られる流星総数としては多くなるでしょう.
8月の流星群
8月は,ペルセウス座流星群がピークを迎えます.2024年はピークは12日23時頃,月齢8です.月は22時頃に沈むため,12日~13日にかけてご覧になるとよいでしょう.明るい流星の割合が多く,夜の冷え込みも弱いため,流れ星がとても見やすい時期と言えるでしょう.なお,2021年にはピークとされる時刻の約1.5日後に突発出現を見せ,2022年も若干の増加が見られています.もし,同様の頃に見られるとすると,2024年は8月14日12時頃に相当し,日本では日の出後となってしまいます.
このほか,8月上旬は7月のみずがめ座δ流星群や,やぎ座流星群の余韻が残るでしょう.年によっては,5日頃までは活動が見られると思います.20日頃には,はくちょう座流星群がピークを迎えます.2021年は比較的多くの流星が観測されたようです.ペルセウス座流星群が終わると,流星数は減少の一途をたどり,月末頃には活動が落ち着くと思われます.
この時期の夜は寒くはありませんが,夜露で体が濡れることが多く,意外と涼しく感じます.特に山でご覧になる方は,綿の服よりは,防水性のある服のほうが良いでしょう.また,野生動物との遭遇もよくある話です.イタチやタヌキ、キツネなど私も何度か”お会い”したことがあります.大型動物と出会うとたいへん危険なので,念のため自治体の注意情報や周辺施設の情報に注意しておきましょう.また,蚊に刺されやすい人は,虫よけも忘れずに.気づいたらすごく蚊に刺されていた人がいました.
9月の流星群
9月は,ちょうど夏の流星群と秋以降の流星群の狭間とあって,眼視観測・電波観測共に目立った流星群はありません.2021年には9月1日早朝に,事前に予想された突発出現が流星電波観測で観測されました(ご参考:2021年ぎょしゃ座流星群観測結果).2024年は特に出現予報はありません.
この他,9月ペルセウス座ε流星群も活動します.元々流星数が多い流星群ではありませんが,2021年は例年より気持ち多かったのか,よく話題に上がりました.電波観測でも捉えられる年もあります.
10月の流星群
10月は上旬に10月りゅう座流星群がピークを迎えます.国際流星機構で記載されているピーク時刻では,8日22時(日本時)ですが,実際,過去のピークはこの時間からズレており,あまり気にしないほうがいいかもしれません.月明りは月齢6と上弦前の月.2024年は8日15時頃にダストトレイルとの接近が予想されています.当該時間は日中ですが,多少ズレる可能性も否定はできないので,8日周囲が暗くなったら見てみましょう.なお,電波観測では観測できます.
10月22日未明には,オリオン座流星群が極大を迎えます.2024年のピーク予想時刻は21日15時頃(日本時)と日本では日中,月齢19と満月を過ぎた月明り.活動そのものは数日間同じ活動となるので,ピーク時刻はあまり気にせず,前後数日間見ることができます.オリオン座流星群は,2006年~2009年にかけて比較的活発な活動を見せましたが,その後は低調が続いています.
なお,この頃から夜はかなり冷えるようになります.しっかりと防寒対策をしてご覧になるようにしてください.
11月の流星群
11月はしし座流星群が極大を迎えます.2002年の素晴らしい活動を最後に,2009年にはZHR100程度の活動は見られましたが,当時のような華やかな活動はここ数年全く見られていません.基本的にはこの傾向がしばらくは続くと思われます.2024年のピークは17日21時頃(日本時)と日中.しかも月齢16なので,観測条件としてはよくありません.2024年はJ.Vaubaillon氏によると,11月15日1:37頃にとても古いダストトレイルとの接近が予想されており,さらに佐藤幹哉氏によると,1733年放出のダストトレイルとの接近が11月20日8:52頃と20日9:54頃に予想されています.15日の1:37頃については日本でも観測できますが,1733年放出のダストトレイルは日中となり,電波観測でしか観測できないでしょう.いずれも出現数は少ないとされています.
この他,おうし座流星群の北群が11月12日頃にピークを迎えます.数こそ多くはありませんが,1998年には火球が多く流れるなど,時々明るい流星が見られます.
12月の流星群
年末には,12月22日~23日にかけて,こぐま座流星群がピークを迎えます.ピークは23日19時頃(日本時).月齢は21で夜半頃に月が昇ります.なお,2024年はP.Jenniskens氏によって22日9時頃多少の増加が予想されていますが,日本からは日中となってしまいます.
この頃の観測は極寒です.真面目に寒いです.防寒対策をしっかりしないと,寒くて耐えられなくなります.また,車で移動される場合は路面凍結や観測後は車内が暖かいので,居眠り運転には十分注意してください.
流星観測をするうえでの注意・留意事項
ご覧になる際は,少なくとも次の事にはご注意・ご配慮ください.多くの方が気持ちよく流星と触れ合うためにもルールとマナーは守りましょう.
- 私有地への立ち入りや,ゴミ,大きな声で騒ぐ等は厳禁(星を見る以前の問題).周囲へご配慮ください.
- 流れ星が見えると感動する気持ちはわかりますが,大声で騒ぎ続けることだけはやめましょう.
- 車で移動した後はエンジンのかけっぱなしは控えてください.
- 治安と野生動物には注意してください.
- お子様は必ず大人の方とご覧ください.
- 特に海外では治安の悪いところもありますので,十分にご注意ください.
以下,特に夏についての留意事項です.
- 夏場でも夜は冷えます.長袖は必ず持参しましょう.
- 虫(特に蚊)に刺される人が多くいます.虫よけも持参しましょう.
以下,特に秋~春についての留意事項です.
- 特に冬は想像を絶する寒さです.スキーウェアは必須.防寒対策を厳重に.
- 暖かい飲み物やカイロもよいでしょう.ただし,直火で暖をとるのはやめてください.
- 車での移動は,路面凍結にご注意.積雪地では,一酸化炭素中毒にも注意してください.
- 観測後暖かい車内では眠くなります.居眠り運転しないよう注意してください.
出典・参考資料
- Meteor Shower Calendar 2024(英文):国際流星機構(IMO)発行
- Meteor Data Center(英文):国際天文学連合
- 流星群の和名一覧:国立天文台
- A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3(2006)
- Meteor Showers and their Parent Comets (P. Jenniskens) (2006)
- Meteor Shower Workbook 2014 (J.Rendtel) - International Meteor Organization (2014)
本ページに記載の情報は,可能な限り最新としていますが,更新が間に合わない場合もあります.また,これら流星群の出現を確実にお約束するものではありません.また,見られる流星数も空の条件や周囲の条件,地理的条件によって大きく変化しますので,予めご了承ください.